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「十四代の種類って、結局いくつあるの?」——日本酒に興味を持つほど、この幻の銘柄で必ずつまずくのがこの疑問です。本丸、中取り、龍の落とし子、龍泉……名前は聞くけれど、どれが定番でどれが頂点なのか、全体像がつかめないまま検索を重ねている方も多いはずです。
結論から言うと、十四代の種類は特別本醸造の「本丸」から純米大吟醸の「龍泉」まで、季節限定を含めれば十数種類以上にわたります。ポイントは、これらが「定番ライン・準プレミアムライン・最上位ライン」の3層に整理でき、さらに「使用する酒米」で味わいが枝分かれしていくという構造です。ここさえ押さえれば、複雑に見えるラインナップが一気にすっきり見えてきます。
この記事では、山形県村山市の高木酒造が醸す十四代について、格付けの全体像・代表銘柄ごとのスペックと味わい・自社開発の酒米・季節限定酒・買うときの注意点までを、公表されている数値をもとに順番に整理します。読み終わるころには、自分がどの一本から入るべきかが見えているはずです。
・十四代の種類を「定番・準プレミアム・最上位」の3層で整理する見取り図
・本丸・中取り・龍の落とし子・龍泉など代表銘柄の精米歩合と味わいの違い
・自社開発の酒米3品種(龍の落とし子・酒未来・羽州誉)が味を分ける理由
・季節限定「角新」の時期と、買うとき・飲むときに失敗しないコツ
十四代の種類はいくつある?まず全体像を格付けでつかむ

十四代は種類が多く、しかも公式サイトに一覧が載っていないため、全体像が見えにくい銘柄です。まずは細かい銘柄名を覚える前に、大きな「層」で捉えると迷いません。ここでは高木酒造と十四代の成り立ちから、格付けの見取り図までを一気に整理します。
そもそも十四代とは?高木酒造が生んだ芳醇旨口の代表格
十四代は、山形県村山市の高木酒造が醸す日本酒です。高木酒造は元和元年(1615年)創業と400年を超える歴史を持ち、もともとは「朝日鷹」を主力銘柄としていました。十四代は、十四代目当主・高木辰五郎と、十五代目にあたる高木顕統の二人が生み出したブランドです。誕生は1990年代前半。当時は「淡麗辛口」が全盛でしたが、十四代は米の甘みと旨みをしっかり感じる「芳醇旨口」という新しい方向性を打ち出し、日本酒の流れを変えたと言われます。仕込み水には、葉山系の雪解け水である「桜清水」を使用しています。名前の由来を知ると、一本ずつの背景が立体的に見えてきます。まずは「山形の老舗が、甘みと旨みで勝負するために立ち上げた銘柄」と覚えておきましょう。
種類は大きく3層|定番・準プレミアム・最上位に分けて捉える
十四代の種類は、価格や造りの手間から見ると大きく3つの層に分かれます。第1層は「定番ライン」。特別本醸造の本丸や、純米・純米吟醸クラスの中取りシリーズがここに入り、比較的入手しやすい価格帯です。第2層は「準プレミアムライン」。自社開発の酒米を使った龍の落とし子や酒未来などで、香りと個性が一段上がります。第3層は「最上位ライン」。龍泉・双虹・七垂二十貫といった純米大吟醸・大吟醸で、精米歩合35〜40%まで磨き上げた贈答・記念向けの一本です。この3層で捉えると、後から出てくる銘柄名もどこかの棚に自然に収まります。まずは「入門・こだわり・頂点」の3段構えだと理解してください。
特定名称で見ると本醸造から純米大吟醸まで全部そろう
十四代のもうひとつの特徴は、特定名称酒のほぼ全レンジをカバーしていることです。特別本醸造の本丸から、純米、純米吟醸、そして純米大吟醸・大吟醸まで、ひとつの銘柄でここまで幅広くそろえる蔵は多くありません。特定名称は主に精米歩合と醸造アルコール添加の有無で決まり、数字が小さいほど米を多く磨いています。つまり十四代の中でも、本丸のような食中酒向けから、龍泉のような磨き上げた香り高い一本まで、狙いがまったく異なる酒が同居しているわけです。特定名称そのものの仕組みが曖昧な方は、先に基礎を押さえておくと銘柄選びが速くなります。

「純米大吟醸って高いけど、純米酒と何が違うの?」「吟醸と本醸造、名前は聞くけど区別がつかない」——日本酒売り場のラベルを前にして、種類の多さに立ち止まってしまう…
実は「レア=美味しい」とは限らない|格付けの落とし穴
意外と知られていないのですが、十四代は「入手困難な銘柄ほど自分の口に合う」とは限りません。最上位の龍泉や双虹は香りが華やかで磨きも深い一方、白鶴錦のように「同銘柄の中ではややライトで軽やか」と評されるものもあります。日々の晩酌で肩肘張らず飲みたいなら、むしろ本丸や中取りのほうが料理に寄り添い、満足度が高いケースも珍しくありません。格付けはあくまで造りの手間と希少性の指標であって、「あなたにとっての美味しさ」の順位ではないのです。プレミア価格の情報に引っ張られず、「自分はどんな味を飲みたいか」を軸に選ぶ——これが十四代選びで最初に持っておきたい視点です。
定番から手に入るのはどれ?本丸・中取りの基本ラインを解説
十四代の入り口として最初に知っておきたいのが、定番ラインの本丸と中取りシリーズです。この層を理解すると、「まず何を狙えばいいか」が具体的になります。ここでは代表3種のスペックと、味を左右する「中取り」という言葉の意味を整理します。
本丸 秘伝玉返し|すべての原点となった特別本醸造
十四代の名を世に知らしめたのが、この本丸 秘伝玉返しです。特定名称は特別本醸造、精米歩合は55%、使用米は五百万石、アルコール度数は15度。1995年の発売当時、本醸造とは思えない品質を手の届きやすい価格帯で打ち出したことが評判を呼び、十四代ブレイクのきっかけになりました。「秘伝玉返し」という名は、加える酒を自社の米焼酎(玉焼酎)由来のものにするなど、こだわりの製法に由来します。味わいは、米の甘みと旨みがふくらみつつ後味はすっきり。冷やしても常温でも楽しめ、和食全般に寄り添う食中酒です。十四代の「芳醇旨口」という個性を最も分かりやすく体感できる一本なので、最初の一本にふさわしい定番です。
| 酒蔵・産地 | 高木酒造(山形県村山市) |
| 銘柄 | 十四代 本丸 秘伝玉返し |
| 特定名称 | 特別本醸造 |
| 精米歩合 | 55% |
| 使用米・度数 | 五百万石/アルコール15度 |
| おすすめの飲み方 | 冷やして、または常温で和食と合わせる |

中取り純米・中取り純米吟醸|搾りの真ん中だけを瓶に詰める
定番ラインの中でも人気が高いのが中取りシリーズです。中取り純米(無濾過)は精米歩合55%、アルコール度数15度で、搾りの一番安定した「中取り」部分だけを瓶詰めし、濾過をせず生詰め(一回火入れ)にしています。無濾過らしい力強い味わいと、フレッシュな旨みが両立した芳醇旨口です。上位の中取り純米吟醸は2024年にリニューアルされ、精米歩合50%の純米吟醸へと磨きが深まり、山田錦や愛山といった酒米を使っています。同じ「中取り」でも純米と純米吟醸で香りの立ち方が変わるので、飲み比べると違いがよく分かります。本丸で十四代の輪郭をつかんだ次のステップとして、この中取りシリーズは自然な選択肢になります。
「中取り」とは何か|あらばしり・責めとの違いを知る
十四代の銘柄名に頻出する「中取り」とは、もろみを搾る工程の「真ん中」で採れる部分を指します。搾りは大きく、最初に出る「あらばしり」、次に安定して出る「中取り(中汲み)」、最後の「責め(せめ)」の3段階に分かれます。あらばしりは荒々しくガス感のあるフレッシュな味、中取りは香味のバランスが最も整った部分、責めは雑味が出やすい代わりに濃厚、という性格の違いがあります。十四代が「中取り」をわざわざ銘柄名に掲げるのは、最も雑味が少なく整った部分だけを選んでいるという品質の宣言なのです。精米歩合の意味とあわせて理解すると、ラベルの情報量が一気に増えて見えます。

日本酒のラベルに小さく書かれた「精米歩合50%」という数字。なんとなく高級そうだとは思っても、その数字が味や香りにどう関わるのか、正確に説明できる人は意外と多く…
日本酒の教科書調べ|十四代 主要銘柄スペック比較
| 銘柄 | 特定名称 | 精米歩合 | 主な使用米 |
|---|---|---|---|
| 本丸 秘伝玉返し | 特別本醸造 | 55% | 五百万石 |
| 中取り純米 無濾過 | 純米 | 55% | 国産米 |
| 中取り純米吟醸 | 純米吟醸 | 50% | 山田錦・愛山 |
| 龍の落とし子 | 純米大吟醸 | 45%前後 | 龍の落とし子 |
| 龍泉 | 純米大吟醸 | 35% | 山田錦 |
※各蔵元・特約店が公表するスペックをもとに日本酒の教科書が集計。年度やロットにより変更される場合があります。
なぜこんなに価格が跳ね上がるのか|幻と呼ばれる理由

十四代を語るうえで避けて通れないのが、定価と市場価格の大きな乖離です。「幻の日本酒」と呼ばれ、時に定価の数倍で取引されるこの現象には、いくつかの明確な理由があります。仕組みを知れば、無駄な買い方をせずに済みます。
生産量が少ない|手造りにこだわる蔵の事情
十四代が手に入りにくい最大の理由は、そもそもの生産量が限られていることです。高木酒造は品質を守るため、機械的な大量生産に振り切らず、手造りの工程を大切にしています。需要が全国区に広がる一方で、供給量を急激に増やさない姿勢を保っているため、常に「欲しい人の数>造られる本数」という状態が続きます。結果として、市場では定価を大きく上回る価格が付きやすくなります。これは品質を犠牲にしないための蔵の選択であり、希少性は狙って作られた演出というより、造りへのこだわりの副産物と捉えるのが実態に近いでしょう。まず「量が少ないから高い」という根っこを押さえておきましょう。
特約店限定で、定価と市場価格が乖離する仕組み
十四代は、蔵が信頼して契約した「特約店」を通じてのみ正規流通します。特約店では定価で販売されますが、抽選や購入制限が設けられることが多く、一般に定価で入手するのは簡単ではありません。一方、フリマアプリやオークション、転売業者の店頭では、需要に応じた市場価格が付きます。この二重構造が、「定価は手頃なのに実売はプレミア価格」という乖離を生んでいます。つまり十四代の価格を語るときは、「特約店の定価」と「二次流通の市場価格」を分けて考える必要があります。どこで見た価格なのかを意識するだけで、相場観の誤解を避けられます。
失敗パターン①|市場価格を定価だと思い込んで買う
初心者がやりがちな失敗が、通販サイトやオークションの価格を「これが十四代の定価」と思い込んでしまうことです。原因は、正規の定価情報が公式に大きく出ていないため、検索で最初に目に入る二次流通の高値を基準にしてしまう点にあります。対策はシンプルで、まず「特約店の定価」と「市場価格」は別物だと理解し、急がず特約店ルートを探すこと。日本酒専門の酒販店で特約店になっている店に足を運んだり、抽選販売の情報をこまめにチェックしたりすれば、定価で出会える可能性は十分あります。焦って高値をつかむ前に、一度立ち止まって「今見ている価格はどちらか」を確かめる習慣をつけましょう。
十四代の市場価格はロットや時期、販売チャネルによって大きく変動します。本記事では具体的な金額を断定せず、「定価は特約店、実売相場は二次流通」という構造の理解に重点を置いています。購入時は正規特約店での価格をご確認ください。なお、20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。
十四代の種類を分ける「酒米」の物語|自社開発の3品種
十四代の種類が豊かに枝分かれする背景には、高木酒造が自ら育てた酒米の存在があります。龍の落とし子・酒未来・羽州誉という3つの品種は、それぞれ味の方向性が異なり、銘柄の個性を決める重要な要素です。ここを知ると、ラベルの読み方が変わります。
龍の落とし子|先代が生んだ蔵の看板米
龍の落とし子は、十四代目当主・高木辰五郎が育成し、1999年に品種登録された酒米です。品種登録以来、基本的に十四代でのみ醸されてきた蔵の看板米で、吟醸香が高く、幅のある芳醇な酒質を生むのが特徴です。これを使った純米大吟醸「龍の落とし子」は、上位クラスで精米歩合45%前後、さらに磨いた大極上諸白では35%まで磨き上げます。味わいは、高貴な甘旨味に程よい酸と渋みが寄り添い、しみわたるような余韻が続きます。準プレミアムラインの中でも、十四代らしい香りと厚みを分かりやすく楽しめる一本です。「十四代の個性を米から知りたい」なら、まずこの龍の落とし子から入るのが近道です。
| 酒蔵・産地 | 高木酒造(山形県村山市) |
| 銘柄 | 十四代 龍の落とし子 純米大吟醸 |
| 特定名称 | 純米大吟醸 |
| 精米歩合 | 45%前後(上諸白)/35%(大極上諸白) |
| 使用米 | 龍の落とし子 |
| 味わいの傾向 | 吟醸香が高く、幅のある芳醇な旨口 |
酒未来|18年かけて育てた夢の米
酒未来は、その名の通り「酒の未来」を託して、十四代目・高木辰五郎が約18年もの歳月をかけて育成した酒米です。背が低く倒れにくい、寒さに強い、粒が大きく心白がはっきりしているといった、酒造りに適した性質を備えています。この米で醸した十四代は、独特の甘みとキレ、喉ごしの良さが持ち味です。酒未来は現在では他の一部の蔵にも供給され、各地で銘酒を生んでいますが、十四代の酒未来はやはり別格の完成度として愛好家に支持されています。龍の落とし子が「幅と厚み」なら、酒未来は「甘みと切れの共存」。同じ純米大吟醸クラスでも、使う米でここまで表情が変わるのが十四代の面白さです。
羽州誉|山田錦超えを目指した山形の米
羽州誉(うしゅうほまれ)は、高木酒造が開発に関わった酒米で、酒どころ兵庫の山田錦に匹敵する山形の酒米を目指して生まれました。龍の落とし子・酒未来と並ぶ「自社開発三部作」の一角で、上位の大吟醸クラスに使われることがあります。心白が大きく高精白に耐える性質を持ち、磨き込んだときの澄んだ香りと綺麗な後口に個性が出ます。羽州誉を冠した十四代は流通量が特に限られ、見かける機会は多くありませんが、「山形の米で頂点を狙う」という蔵の哲学が凝縮された品種です。3品種を知っておくと、店頭やリストで名前を見たときに「これはどんな味の系統か」を瞬時に想像できるようになります。
酒米で味がどう変わるか|選ぶときの目安
3つの酒米を味の方向で整理すると、選ぶときの目安になります。幅と芳醇さを楽しみたいなら龍の落とし子、甘みとキレのコントラストを味わいたいなら酒未来、磨き込んだ澄んだ香りを求めるなら羽州誉、という具合です。もちろん同じ米でも精米歩合や火入れの有無で印象は変わりますが、「どの米か」は最初の羅針盤として有効です。店頭で複数の十四代に出会えたときは、まず使用米を見て、その日の気分や合わせる料理に近い系統を選ぶとハズレが少なくなります。酒米という切り口を持つだけで、十四代の種類選びは驚くほど整理されます。ラベルの米の名前に、これからは注目してみてください。
頂点に立つ最上位ランク|龍泉・双虹・七垂二十貫はどう違う

十四代の中でも別格の存在が、最上位ランクの純米大吟醸・大吟醸です。龍泉・双虹・七垂二十貫は、いずれも贈答や記念の場にふさわしい磨き込んだ一本。名前は似た印象でも、造りと個性には明確な違いがあります。ここでその違いを解きほぐします。
龍泉|十四代の頂点に立つ純米大吟醸
龍泉は、十四代のラインナップで頂点に位置づけられる純米大吟醸です。兵庫県特A地区産の山田錦を精米歩合35%まで磨き上げ、「七垂二十貫」と呼ばれる贅沢な搾りと、雫取り、氷温での長期熟成を経て仕上げられます。手間のかけ方が段違いで、澄んだ吟醸香と、絹のようになめらかで奥行きのある味わいが特徴です。生産本数がきわめて限られるため、市場では特に高値で取引されます。日常的に飲む酒というより、人生の節目や特別な贈り物として選ばれる一本です。十四代というブランドが到達した造りの水準を象徴する存在として、まず名前を覚えておきたい銘柄です。
双虹|2つの虹が意味する大吟醸
双虹(そうこう)は、龍泉と並ぶ最上位クラスの大吟醸です。こちらも兵庫県特A地区産の山田錦を精米歩合35%まで磨き、七垂二十貫の搾りと雫取り、氷温熟成という手の込んだ造りで仕上げます。「双虹」という名は、2つの虹の弧を数字の「十四」に見立てたものと言われ、銘柄名にも遊び心と物語が込められています。龍泉が純米大吟醸なのに対し、双虹は大吟醸として醸造アルコールを効かせることで、より澄んだ輪郭とキレのある後口を狙っています。純米大吟醸の厚みか、大吟醸の切れか——同じ35%磨きでも、造りの設計で表情が分かれるのが最上位ランクの奥深さです。
七垂二十貫|名前に込めた贅沢な搾り
七垂二十貫(ななたれにじっかん)は、純米大吟醸クラスの銘柄であると同時に、龍泉や双虹にも用いられる「搾りの技法」の名前でもあります。二十貫分もの米から、わずか七垂れほどの雫しか採らない、というほど贅沢に上澄みだけを集めるイメージから名付けられました。銘柄としての七垂二十貫は愛山を精米歩合40%程度まで磨いた一本で、愛山らしいふくよかな甘みと、雫取りならではの雑味のない透明感が同居します。名前の由来を知ると、なぜこの造りが特別なのかが腑に落ちます。最上位ランクを味わうときは、その一滴に費やされた米の量に思いを馳せると、味わいがいっそう深く感じられるはずです。
・龍泉=純米大吟醸/山田錦35%磨き。厚みと奥行きの頂点
・双虹=大吟醸/山田錦35%磨き。澄んだ輪郭とキレ重視
・七垂二十貫=愛山40%磨き。ふくよかな甘みと透明感
いずれも贈答・記念向け。日常の晩酌には定番ラインが向く
季節・限定で表情を変える一本|角新・あらばしり・白鶴錦
十四代の楽しみは定番と最上位だけではありません。季節や仕込みのタイミングでしか出会えない限定酒も、この銘柄の大きな魅力です。ここでは冬の風物詩「角新」を中心に、あらばしりや他蔵の名米をまとった白鶴錦まで、期間限定の世界を紹介します。
角新|冬だけ現れるしぼりたての新酒
角新(かくしん)は、12月中旬ごろに登場する冬の期間限定シリーズです。その年の新酒を、火入れや熟成で落ち着かせる前の「しぼりたて」に近い状態で瓶詰めするのが角新の考え方で、みずみずしくフレッシュな香味とわずかなガス感を楽しめます。中取りなどの通常版に「角新」と付くことで、同じ銘柄でも新酒ならではの若々しい表情に変わります。落ち着いた熟成感とは対照的な、勢いのある味わいが持ち味なので、飲み比べると十四代の幅の広さがよく分かります。出回る時期が短いため、冬に酒販店で見かけたら迷わず手に取りたい季節の一本です。
あらばしり|最初のひとしずくの荒々しさ
あらばしりは、もろみを搾り始めたときに最初に出てくる部分を指し、十四代でも季節限定で登場します。まだ圧をかけていない自然に流れ出た部分のため、微細なガス感と若々しい酸、荒削りながら勢いのある香味が特徴です。中取りが「整ったバランス」なら、あらばしりは「フレッシュな躍動感」。同じ十四代でも、搾りのどの部分かで狙う味がまったく変わります。冷やしてグラスで香りを立たせて飲むと、開栓直後の弾けるような印象を存分に楽しめます。生詰めや生酒に近い扱いのものは温度管理が大切になるので、購入後は早めに、そして冷蔵で保管するのがおすすめです。

「生酒(なまざけ)」と書かれたラベルを見て、火入れ酒や生貯蔵酒と何が違うのか、なぜ冷蔵庫のケースだけに並んでいるのか、モヤっとしたまま棚の前を通り過ぎた経験はあ…
白鶴錦|他蔵の名米をまとった一本
白鶴錦(はくつるにしき)は、白鶴酒造が山田錦の母「山田穂」と父「渡船」を約70年ぶりに交配させ、2007年に世に出した山田錦の兄弟品種です。十四代では、この希少な酒米を精米歩合40%まで磨き、アルコール度数15度の生詰めタイプなどで醸しています。味わいは同銘柄の中ではややライトで軽やか、と評されることもあり、綺麗で穏やかな酒質が持ち味です。自社開発の酒米だけでなく、他蔵が生んだ名米も積極的に取り入れる——この柔軟さもまた、十四代の種類が豊かに広がる理由のひとつです。飲み疲れしにくい軽快さを求める人には、意外な穴場になる一本かもしれません。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ○ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | ◎ |
◎=出回りやすい ○=流通が始まる/残る △=基本的に見かけにくい(時期は年により前後します)
買うとき・飲むときに失敗しないための実践知識
せっかく手に入れた十四代を最大限楽しむには、買い方と飲み方の両方にコツがあります。ここでは温度と保存の落とし穴、シーン別の選び方、そして偽物や転売品を避けるための視点を、実践的にまとめます。最後のひと押しになる知識です。
失敗パターン②|温度と保存で味を台無しにする
もうひとつの典型的な失敗が、保存と提供温度の管理ミスです。十四代の中でも中取りやあらばしりなど生詰め・生酒に近いタイプは、温度変化と時間の影響を受けやすく、常温で長く置くと本来のフレッシュさが失われます。原因は「せっかくの高級酒だから」と飾って置いてしまうこと。対策は、購入後はできるだけ早く、冷蔵庫のチルド室など低温で保管し、開栓後は数日〜1週間程度で飲み切ることです。提供温度も、香りを楽しむ吟醸系は10℃前後に冷やすと持ち味が生きます。本丸のような食中酒は常温やぬる燗でも楽しめますが、生詰め系は冷やして早めに——これを守るだけで、味の満足度は大きく変わります。
シーン別|初めての一本/贈り物/記念日での選び方
目的によって、選ぶべき種類は変わります。初めての一本なら、十四代の個性を分かりやすく体感でき、比較的手に取りやすい本丸 秘伝玉返しが向いています。日本酒好きへの贈り物なら、香りと個性が際立つ龍の落とし子や酒未来など酒米シリーズが喜ばれます。結婚や昇進などの記念日、特別なお祝いには、龍泉・双虹といった最上位ランクが場にふさわしい風格を添えます。晩酌でじっくり味わいたいなら中取りシリーズ、というように「誰と・どんな場で飲むか」を先に決めると、種類の多さに迷わずに済みます。値段の高さだけで選ばず、シーンとの相性で選ぶのが満足への近道です。
偽物・転売品を避ける見分け方
人気ゆえに、十四代には模倣品や、保管状態の悪い転売品が出回るリスクもあります。避けるための基本は、正規の特約店や信頼できる日本酒専門店で買うこと。特約店であれば流通経路が明確で、温度管理も適切に行われている可能性が高くなります。二次流通で買う場合は、製造年月の表示、保管状態の説明、出品者の実績などを確認しましょう。極端に相場から外れた価格や、保存環境が不明な出品には注意が必要です。ラベルの印字や瓶の状態に不自然な点がないかもチェックポイントです。「安さ」より「素性の確かさ」を優先することが、結果的に本来の十四代の味に出会う一番の近道になります。
飲むときの温度と酒器の合わせ方
十四代を飲むときは、種類に合わせて温度と酒器を選ぶと持ち味が引き立ちます。龍の落とし子や龍泉のような吟醸香の高いタイプは、10℃前後に冷やし、口のすぼまったワイングラスや小ぶりのグラスに注ぐと、華やかな香りが立ち上ります。本丸のような食中酒は、常温や40℃前後のぬる燗にすると米の旨みがふくらみ、料理との相性が増します。あらばしりや角新のフレッシュなタイプは、しっかり冷やしてガス感を楽しむのが向いています。冷やしすぎると香りが閉じてしまうので、飲む少し前に冷蔵庫から出して、温度が上がる過程での香りの変化も味わってみてください。
まとめ|十四代の種類は3層+酒米で読み解けば迷わない
十四代は種類が多く、最初は誰でも面食らう銘柄です。けれど「定番・準プレミアム・最上位」という3層と、龍の落とし子・酒未来・羽州誉という自社開発の酒米という2つの軸を持てば、複雑に見えたラインナップが一枚の地図のように整理できます。プレミア価格の情報に振り回されず、まずは入手しやすい本丸で十四代の芳醇旨口を体感し、そこから使用米の違いを楽しむ方向へ進むのが、遠回りに見えて一番の近道です。あなたの最初の一本が、本丸か、それとも気になる酒米シリーズか——今日の見取り図を手に、無理のない範囲で出会いを探してみてください。
※銘柄のスペックや流通状況、価格は時期・ロットにより変わります。最新情報は各特約店・公式の案内でご確認ください。

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