酒屋の棚で「おりがらみ」と書かれた、うっすら白くかすんだ日本酒を見かけて、「これってにごり酒とどう違うの?」「開けたら吹きこぼれるって本当?」と手が止まった経験はありませんか。名前は知っていても、正体をきちんと説明できる人は意外と多くありません。
結論から言うと、おりがらみは「おり」と呼ばれる細かな固形分をあえて残した、うっすら濁った日本酒です。透明な普通酒と、どっしり白いにごり酒のちょうど中間。旨味とフレッシュさが同居する、冬から春にかけての楽しみのひとつです。
この記事では、おりがらみの意味と「おり」の正体から、にごり酒・どぶろくとの違い、造り方、味わい、そして初心者がつまずきがちな「開栓の吹きこぼれ」を防ぐ扱い方まで、順を追ってやさしく整理します。読み終える頃には、ラベルを見ただけで自分好みの一本を選べるようになります。
・おりがらみの意味と「おり(澱)」の正体
・にごり酒・どぶろく・うすにごりとの明確な違い
・吹きこぼれを防ぐ開栓のコツと保存方法
・季節・温度・おつまみ別の楽しみ方
おりがらみとは?うっすら濁った「かすみ酒」の正体をやさしく解説

まずはおりがらみがどんな日本酒なのか、その正体をひも解いていきましょう。名前の由来を知ると、味わいの特徴まで一本の線でつながります。
おりがらみ=「おり」をあえて残したうっすら濁りの日本酒
おりがらみとは、搾ったあとに沈む「おり(澱)」という細かな固形分を取り除かず、あえて少し残したまま瓶詰めした日本酒のことです。だからグラスに注ぐと、透明ではなく、うっすら白くかすんで見えます。搾り方そのものは透明な日本酒と同じで、最後の「おり引き」という工程を省くかどうかが分かれ道になります。透明な普通のお酒と、白く濁ったにごり酒の、ちょうど中間の見た目だとイメージすると分かりやすいでしょう。豆知識として、瓶の底に白い沈殿がたまっていても、それは異常ではなく、おりがらみの証。むしろその沈殿こそが旨味の源です。ラベルに「おりがらみ」「かすみ酒」「うすにごり」と書かれていれば、この仲間だと思って間違いありません。
そもそも「おり」って何?米と酵母が生む旨味の粒
「おり」の正体は、米のかけらや酵母など、搾りきれずに液中を漂う細かな固形分です。もろみを搾った直後のお酒には、こうした微細な粒がまだ浮遊しています。なぜこれが大事かというと、おりにはアミノ酸をはじめとする旨味成分が多く含まれているから。通常はタンクで数日置いて沈め、上澄みだけを取り出しますが、その沈んだ部分こそが「おり」です。見分け方は簡単で、瓶を光にかざしたとき、細かな粒がふわりと舞えばそれがおり。注意点として、このおりは時間が経つと瓶の底に固まってたまるので、飲む前に軽く混ぜるか、上澄みから静かに味わうかで表情が変わります。混ぜれば濃厚、上澄みならすっきり、と一本で二度おいしいのがおりがらみの隠れた魅力です。
なぜ「かすみ酒」とも呼ばれる?春霞になぞらえた美しい別名
おりがらみは「かすみ酒」という風流な別名でも呼ばれます。理由は、その見た目がまるで春の空にたなびく霞(かすみ)のように、うっすらと白くけぶって見えるから。くっきり白濁するにごり酒とは違い、向こう側がぼんやり透ける程度の淡い濁りが特徴です。実際に酒屋で選ぶときは、瓶を横から見て「霞がかった程度か、牛乳のように真っ白か」で見分けるとよいでしょう。前者ならおりがらみ、後者ならにごり酒寄りです。豆知識として、しぼりたての新酒が出回る冬から春にかけて「かすみ酒」の名で登場する銘柄が多いのは、季節の霞をイメージさせるネーミングでもあります。名前の由来を知っておくと、ラベル選びが少し楽しくなります。
おりがらみが「清酒(日本酒)」に分類される理由
結論として、おりがらみは見た目が濁っていても、法律上はれっきとした「清酒(日本酒)」です。理由は酒税法にあります。酒税法では「米・米麹・水を発酵させたもろみを漉したもの」を清酒と定義しており、おりがらみは目の細かい布できちんと搾る「上槽」という工程を経ているためです。濁って見えても、搾る工程を通っていれば清酒として認められます。見分けのポイントは、後述するどぶろくとの対比。どぶろくは搾らないので清酒を名乗れませんが、おりがらみは搾ったうえでおりを残すだけなので清酒のまま。豆知識として、精米歩合や日本酒度といったスペックも、透明な日本酒とまったく同じ基準で表示されます。濁りは「造りの個性」であって、酒の格を下げるものではないのです。
日本酒には特定名称やタイプごとに多くの種類があります。全体像を整理したい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

にごり酒・どぶろく・うすにごりと何が違う?濁り系日本酒の見分け方
「濁っているお酒」とひとくくりにされがちですが、実は搾り方や法律上の扱いで明確に分かれています。ここを押さえると、酒屋での選び方が一段深くなります。
おりがらみとにごり酒の違いは「搾りの目の粗さ」
おりがらみとにごり酒のいちばんの違いは、搾るときに使う布や網の目の粗さです。おりがらみは通常の目の細かい布で搾り、そのあとにおりを少し残します。一方にごり酒は、あえて目の粗い網やザルで「あらごし」して、固形分を多めに残します。だからにごり酒のほうが白濁が強く、とろみや甘味が前面に出た重厚な味わいになりやすいのです。見分け方は色の濃さで、霞程度ならおりがらみ、牛乳のように白ければにごり酒。味の傾向も、おりがらみは爽やかさと旨味のバランス型で日常飲みに向き、にごり酒は甘くコクのあるデザート的な立ち位置です。注意点として、両者の境界は明確な数値基準があるわけではなく、蔵の判断による部分も大きいので、迷ったら濁りの濃さで判断すれば大きく外しません。
にごり酒とどぶろくの違いは「搾るか、搾らないか」
にごり酒とどぶろくは、どちらも白く濁っていて混同されがちですが、決定的な違いは「搾る工程があるかどうか」です。にごり酒は粗い網とはいえもろみを漉す(搾る)工程を経ているため、酒税法上は「清酒」に分類されます。対してどぶろくは、もろみを漉さずにそのまま瓶詰めするため、清酒ではなく「その他の醸造酒」という別カテゴリになります。つまり同じ濁り系でも、法律上の身分が違うのです。見分けのヒントは、どぶろくのほうが米粒感が強く、より濃厚でとろりとしていること。豆知識として、清酒を名乗れるかどうかはこの「漉す工程」の有無で決まるため、おりがらみもにごり酒も清酒、どぶろくだけが別枠、と覚えておくと整理しやすくなります。
うすにごり・活性にごりはどこに位置する?
「うすにごり」は、その名の通りにごりの少ないタイプで、おりがらみとほぼ同じ位置づけで使われることが多い言葉です。爽やかな飲み口の商品が多く、おりがらみとうすにごりは呼び方が違うだけで実質同じような濁り具合、というケースも珍しくありません。一方「活性にごり」は、火入れ(加熱処理)をしていないにごり酒のことで、瓶の中で酵母が生きたまま発酵を続け、シュワシュワとした発泡感を楽しめる刺激的なタイプです。見分け方として、ラベルに「活性」「発泡」「requires冷蔵」といった表記があれば、開栓時に吹き出しやすいので特に注意が必要。おりがらみにもこの活性タイプがあり、後半で解説する吹きこぼれ対策が重要になります。濁りの濃さと発泡の有無、この二軸で捉えると濁り系日本酒の全体像がすっきり見えてきます。
【日本酒の教科書調べ】濁り系日本酒4タイプの分類早見表(各種の酒税法上の扱い・製法の公表情報をもとに整理)
| 比較項目 | おりがらみ | にごり酒 | どぶろく |
|---|---|---|---|
| 酒税法上の分類 | 清酒 | 清酒 | その他の醸造酒 |
| 搾り方 | 細かい布で搾る | 粗い網であらごし | 搾らない |
| 濁りの濃さ | うっすら(霞程度) | 白濁が強い | 最も濃厚 |
| 味わいの傾向 | 旨味とすっきり感 | 甘くコク深い | 米感が濃い |
出典:SAKE Street「どぶろく、にごり酒、おりがらみの違いとは?」の分類情報をもとに整理
どうやって造られる?「上槽」と「おり引き」から見る製法の裏側

おりがらみの個性は、造りの最終盤にある2つの工程で決まります。ここを理解すると、なぜあの淡い濁りと旨味が生まれるのかがすっきり腑に落ちます。
すべての出発点「上槽(じょうそう)」=もろみを搾る工程
おりがらみ造りの出発点は、「上槽(じょうそう)」と呼ばれる搾りの工程です。発酵を終えたもろみ(米・米麹・水が発酵したどろどろの液体)を、目の細かい布などで搾って、液体(お酒)と固体(酒粕)に分けます。この工程を通すからこそ、おりがらみは清酒として認められます。理由は前述の通り、酒税法が「もろみを漉したもの」を清酒と定めているためです。具体例として、しぼりたての新酒はこの上槽を終えた直後の、もっともフレッシュな状態。見分けの豆知識として、「あらばしり」「中取り」「責め」といった言葉は、この上槽のどの段階で搾ったお酒かを表す用語です。おりがらみはこの搾った直後のお酒に、次に説明する「おり」をあえて残して仕上げます。
精米歩合など基本のスペックの読み方をおさらいしたい方は、こちらもどうぞ。

「おり引き」をしない、という蔵のあえての選択
おりがらみの決め手は、「おり引き」という工程をあえて省く(または一部だけ行う)ことです。通常、搾ったお酒はタンクにしばらく置いて、残った細かな固形分を底に沈めます。この沈殿が「おり」で、毎日一定量ずつ取り除いていく作業を「おり引き」と呼びます。透明な日本酒はこのおり引きを丁寧に行いますが、おりがらみはこれをしないか、少しだけ残す。だからうっすら濁り、旨味も豊かになるのです。具体例として、蔵によっては「おりを7割引いて3割残す」といった微妙な調整で個性を出します。注意点は、おりの量は銘柄ごとに大きく異なること。同じ「おりがらみ」でも、淡いものと濃いめのものがあるのは、この引き加減の違いによるものです。
火入れの有無で変わる「生おりがらみ」のフレッシュさ
おりがらみには、加熱処理(火入れ)をしない「生(なま)」のタイプが多いのが特徴です。結論として、火入れをしないほど、しぼりたての若々しくフレッシュな風味が残ります。理由は、火入れが酵母や酵素の働きを止めて品質を安定させる工程だから。これを省くと、みずみずしさやかすかなガス感が生きたまま瓶に詰められます。具体例として、ラベルに「生」「生酒」「無濾過生原酒」と併記されていれば、より荒々しくフレッシュな味わいだと予想できます。ただし注意点として、火入れをしない生タイプは酵母が生きているため、瓶内で発酵が進んでガスがたまり、開栓時に吹き出しやすくなります。冷蔵保存が必須になるのもこのためで、扱い方は後半で詳しく解説します。フレッシュさと引き換えに、少しだけ手間がかかるお酒なのです。
おりがらみ=「上槽で搾る」+「おり引きをしない(少し残す)」の組み合わせ。ここに「火入れをしない生」が加わると、フレッシュさは増すぶん、開栓時の吹きこぼれ対策が必要になります。
味わいと香りの特徴|旨味とフレッシュさが同居する魅力
おりがらみの人気の理由は、その独特の味わいバランスにあります。透明な日本酒ともにごり酒とも違う、中間ならではの魅力を掘り下げます。
ひと口の結論:旨味たっぷり、でも後味はすっきり
おりがらみを口に含むと、まず米由来のふくよかな旨味とほのかな甘みがふわっと広がり、それでいて後味は意外なほどすっきりと切れていきます。これがおりがらみ最大の魅力です。理由は、旨味の源であるおりを残しつつ、にごり酒ほど固形分が多くないため、重たくなりすぎないから。とろりと甘いにごり酒と、キレのある透明な日本酒の、いいとこ取りの立ち位置です。具体的な楽しみ方として、瓶を軽く回しておりを混ぜれば濃厚に、上澄みだけを注げばすっきりと、好みで表情を変えられます。豆知識として、生タイプならかすかな炭酸のピリッとした刺激も感じられ、これが後味の爽快さをいっそう引き立てます。日本酒を飲み慣れていない人でも受け入れやすい、間口の広い味わいです。
なぜ旨味が濃い?「おり」がアミノ酸を届けてくれる
おりがらみの旨味が濃く感じられるのには、はっきりした理由があります。旨味の正体は、おりに多く含まれるアミノ酸などの成分です。透明な日本酒はおり引きでこれらを取り除きますが、おりがらみはあえて残すため、旨味成分がそのまま液中に溶け込みます。具体例として、だしや熟成チーズの旨味を思い浮かべると分かりやすく、あの「舌に残るコク」に近い満足感がおりから生まれます。見分け方として、瓶の底の沈殿が多いほど旨味も濃い傾向にあるので、濃厚さを求めるなら沈殿の量をチェックするとよいでしょう。注意点は、旨味が濃いぶん飲みごたえもあるため、少量ずつじっくり味わうのがおすすめ。おりを混ぜるタイミングや量で旨味の出方を調整できるのも、おりがらみならではの遊び方です。
しぼりたてと重なると生まれる、みずみずしい若さ
おりがらみは「しぼりたて」と組み合わさることが多く、この二つが重なると格別のフレッシュさが生まれます。しぼりたてとは、搾ったばかりで火入れや熟成をあまり経ていない新酒のこと。若々しくみずみずしい風味が持ち味です。ここにおりがらみの旨味が加わると、「軽やかで若い果実感」と「おりのコク」が同居した、冬から春だけの季節限定の味わいになります。具体例として、ラベルに「しぼりたて おりがらみ」と併記された銘柄は、まさにこの組み合わせ。見分け方として、こうした新酒は11月頃から春先にかけて酒屋の店頭をにぎわせます。注意点は、フレッシュなぶん風味の移り変わりも早いので、買ったら早めに、そして冷蔵で保存して飲みきるのが鉄則。旬を逃さず味わってこそのお酒です。
・日本酒デビューの人:淡い霞程度の火入れタイプ。クセが少なく飲みやすい
・旨味重視のベテラン:おり多めの無濾過生原酒。混ぜて濃厚に
・食中酒に使いたい人:すっきり系のうすにごりを上澄みで
・季節を味わいたい人:冬〜春の「しぼりたて おりがらみ」
甘口・辛口の目安になる日本酒度の読み方も知っておくと、おりがらみ選びがさらにスムーズになります。

開栓が怖い?吹きこぼれを防ぐ扱い方と保存のコツ
おりがらみで初心者が最もつまずくのが、開栓時の「吹きこぼれ」です。ここを知らずに開けると台所が泡だらけになることも。安全な扱い方を手順で覚えましょう。
なぜ吹きこぼれる?瓶の中で生きている酵母のしわざ
おりがらみ、とくに生タイプが開栓時に吹き出すのは、瓶の中で酵母が生きて発酵を続けているからです。火入れをしていないお酒は、酵母がわずかに糖を分解し続け、その過程で炭酸ガスが発生します。このガスが瓶内にたまった状態でキャップを一気に開けると、圧力が解放されて中身が泡とともに噴き出すのです。理屈は、振った炭酸飲料を勢いよく開けるのと同じ。見分け方として、ラベルに「活性」「発泡」「要冷蔵」「開栓注意」とあれば吹き出しやすいサインです。豆知識として、瓶のキャップがガス抜きできる特殊構造になっている銘柄もあり、その場合は説明書きに従うのが安全。何も知らずに常温で持ち歩いた瓶を急に開けるのが、いちばん危険なパターンです。
買ってきた生おりがらみを常温の棚に置いたまま数日。開けようとキャップをひねった途端、泡が勢いよく噴き出してお酒が半分近く流出——という失敗はよくあります。原因は常温で酵母の発酵が進みガスがたまったこと。対策は「買ったら即冷蔵」「開栓は十分に冷やしてから」の2点です。なお20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。
吹きこぼさない開栓の手順(冷やす→少しずつ→ガス抜き)
吹きこぼれを防ぐ開栓のコツは、とにかく「冷やして、少しずつ、様子を見ながら」です。結論として、キンキンに冷やした状態で、キャップを一気に開けず、少し回してはガスを逃がす作業を繰り返せば、まず失敗しません。理由は、冷えているほどガスが液に溶け込んで暴れにくくなり、少しずつ開ければ圧力を段階的に逃がせるからです。具体的な手順は下のステップの通り。注意点として、開栓は必ずシンクなど汚れてもよい場所で、瓶口を自分や人の顔に向けずに行ってください。豆知識として、開けている途中で泡が上がってきたら、いったんキャップを締めて落ち着くのを待つと、あふれを最小限に抑えられます。焦らないことがいちばんのコツです。
保存の基本は「冷蔵」一択、開栓後は早めに
おりがらみ、とくに生タイプの保存は、冷蔵庫での低温保存が基本です。結論として、買ってきたらすぐ冷蔵庫へ入れ、開栓後は数日から1週間程度を目安に早めに飲みきるのが安心です。理由は、生タイプは酵母が生きているため、常温だと発酵が進んで風味が変わったり、ガスで瓶が変形・噴出したりする危険があるから。具体的な置き場所は、冷蔵庫の中でも温度が安定した奥がおすすめです。見分けの注意点として、ラベルに「要冷蔵」とあれば必ず守ること。火入れタイプであれば常温でも比較的安定しますが、開栓後はどちらも冷蔵が無難です。豆知識として、瓶は立てて保管すると、おりが底にきれいに沈んで上澄みとの飲み分けがしやすくなります。フレッシュさが命のお酒なので、「早めに冷やして早めに飲む」を合言葉にしてください。
いつ飲める?季節・温度・グラスで変わる楽しみ方
おりがらみは季節性の強いお酒です。旬の時期と、味わいを引き出す温度・器を知れば、同じ一本でも満足度がぐっと上がります。
旬は冬から春|しぼりたてが出回るシーズン
おりがらみがもっとも多く出回るのは、冬から春にかけてのシーズンです。理由は、この時期がしぼりたての新酒が続々と登場する季節だから。多くの蔵が秋に仕込んだお酒を冬に搾り始めるため、フレッシュなおりがらみが店頭に並ぶのです。具体的な目安として、11月頃から春先にかけてが狙い目。「新酒」「しぼりたて」「かすみ酒」といったラベルが増えたら、おりがらみの旬到来のサインです。下の月別カレンダーも参考にしてください。注意点として、近年は季節を問わず楽しめる火入れタイプも増えていますが、生のフレッシュなものを狙うならやはり冬〜春が本番。豆知識として、旬の時期は選べる銘柄も一気に増えるので、飲み比べを楽しむにも絶好のタイミングです。季節の移ろいを一杯で感じられるのも、日本酒ならではの醍醐味です。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ◎ | ◎ | ◎ | ○ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | ◎ | ◎ |
◎=しぼりたて系がよく出回る時期 ○=一部出回る △=火入れタイプ中心(銘柄により異なります)
おすすめは冷やして|5〜15℃の冷酒で香りを引き立てる
おりがらみは、しっかり冷やして飲むのが基本のおすすめです。結論として、5〜15℃ほどの冷酒にすると、フレッシュな香りと爽やかな飲み口が際立ちます。理由は、低温にするとガス感やみずみずしさが引き締まり、おりの旨味が重たくなりすぎずにまとまるから。冷蔵庫でしっかり冷やしてから注ぐと、口当たりがきりっとして後味も軽やかになります。具体例として、暑い時期には氷を1〜2個入れたロックで、おりの濃厚さをすっきり薄める楽しみ方もあります。注意点として、生タイプを常温に長く置くのは風味・安全の両面で避けたいところ。豆知識として、火入れタイプの中には少し温度を上げると旨味がふくらむものもありますが、まずは冷やして本来の爽快さを味わうのが失敗のない入り口です。冷やす一手間が、おりがらみの魅力を最大限に引き出します。
底に沈んだおりを混ぜたくて、瓶を炭酸飲料のように激しく振るのは危険です。とくに生タイプはガスが一気に暴れ、開栓時に大噴出します。対策は、飲む前に瓶をゆっくり上下に傾ける程度にとどめること。それでも混ざりにくければ、上澄みを別のグラスに取り分けてから、残ったおりを少量ずつ足して濃さを調整すると安全かつ好みの味に仕上がります。
器選びのコツ|ワイングラスで香りを、おちょこで気軽に
おりがらみは器の選び方でも表情が変わります。結論として、香りをじっくり楽しみたいなら口のすぼまったワイングラス、気軽に少しずつ飲みたいなら小さめのおちょこがおすすめです。理由は、ワイングラスは香りが立ちのぼる空間ができるため、フレッシュな吟醸香やおりの旨味を鼻でも味わえるから。具体例として、生おりがらみのかすかなガス感と果実のような香りは、ワイングラスだと驚くほど華やかに感じられます。一方、濃厚なおりを少しずつ味わうなら、白いおりの色合いが映える白磁のおちょこも風流です。注意点として、濁りがあるお酒は透明なグラスに注ぐと、その美しい霞のような色合いも目で楽しめます。豆知識として、飲み始めは上澄みをおちょこで、後半はおりを混ぜてワイングラスで、と器を変えると一本で二度おいしく味わえます。
おりがらみに合うおつまみとペアリングのコツ
旨味とフレッシュさを兼ね備えたおりがらみは、食事とも好相性。合わせ方のコツを押さえて、家飲みの満足度を高めましょう。
ペアリングの基本|旨味には旨味、脂には爽やかさを
おりがらみのペアリングの基本は、「旨味には旨味を重ね、脂っこさには爽やかさをぶつける」ことです。結論として、おりの持つコクは旨味の強い料理と響き合い、フレッシュな酸やガス感は脂を洗い流してくれます。理由は、味の方向性を揃えると一体感が生まれ、逆の要素を合わせると口の中がリセットされるから。具体例として、旨味を重ねるなら出汁のきいた料理、脂を切るなら揚げ物や乳製品と好相性です。見分けのコツとして、おりが濃いめの一本には味のしっかりした料理を、淡い一本には繊細な料理を合わせるとバランスが取れます。注意点として、香りの強すぎる料理はおりがらみの繊細な風味を隠してしまうことがあるので、まずはシンプルな味付けから試すのが安全。ペアリングに正解はないので、気軽に試して自分の「当たり」を見つけてください。
具体的に合うおつまみ|刺身・冷奴・クリーム系
おりがらみに具体的に合わせやすいのは、刺身や冷奴といった素材の味を生かした料理と、意外にもクリーム系のおつまみです。冷やした冷酒のおりがらみには、刺身や冷奴のような、素材そのものの味わいを引き立てる料理がよく合います。理由は、繊細な料理どうしが互いの旨味を高め合うから。具体例として、白身魚の刺身や、塩をきかせた冷奴は、おりのやさしい甘みと好相性です。さらに逆方向として、クリームチーズや軽い揚げ物のような脂のあるおつまみには、おりがらみのガス感と酸が心地よいアクセントになります。注意点として、味の濃い煮物や香辛料の強い料理はお酒の風味を覆いがちなので、量を控えめにするとバランスが取れます。豆知識として、おりの旨味はチーズの発酵風味と相性がよく、和食に限らず洋のおつまみとも楽しめる懐の広さがあります。
実は万能?「濁り=甘い」の思い込みを外すと世界が広がる
意外と知られていませんが、「濁っているお酒=甘くて食事に合わない」というのは思い込みで、おりがらみはむしろ食中酒として万能です。多くの人がにごり酒の甘くとろりとしたイメージをおりがらみにも重ねてしまいますが、実際のおりがらみは旨味がありつつ後味がすっきりしており、料理を邪魔しません。理由は、にごり酒ほど固形分が多くなく、生タイプならガス感が口の中を軽やかにリセットしてくれるから。具体例として、食前の一杯としても、食事に寄り添う食中酒としても活躍します。この視点を持つと、「デザート的な特別な一本」だと敬遠していた人も、日常の食卓に取り入れやすくなります。注意点として、銘柄ごとに甘辛のふり幅はあるので、食事に合わせるなら日本酒度がプラス寄りのすっきりタイプを選ぶと外しません。濁りの見た目で決めつけず、中身で選ぶのが上級者への近道です。
まとめ:おりがらみは「霞のような濁り」を楽しむ、旨味とフレッシュさの中間酒
おりがらみは、透明な日本酒とにごり酒の「いいとこ取り」のような存在です。名前の意味と扱い方さえ押さえれば、決して難しいお酒ではありません。最初の一歩として、次に酒屋を訪れたら、ラベルに「おりがらみ」「かすみ酒」と書かれた一本を手に取り、しっかり冷やして、ゆっくり開栓してみてください。霞のような見た目と、旨味とフレッシュさが同居した味わいを、ぜひ体感してみましょう。
※商品の取り扱いや販売時期は変わることがあります。最新情報は各蔵元・販売店の公式サイトでご確認ください。なお20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。

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