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スーパーの日本酒売り場やお土産店で「美酒爛漫」のラベルを見かけて、裏ラベルに書かれた「秋田銘醸株式会社」という社名が気になった方も多いのではないでしょうか。銘柄名と社名が違うので、同じ蔵なのか別の会社なのか、どんなお酒を造っているのか、意外と知られていません。
結論からお伝えすると、秋田銘醸は秋田県湯沢市にある「美酒爛漫」の醸造元です。大正11年(1922年)に「秋田の美酒を全国へ」という願いのもと、県内の酒造家や政財界人など有志88名が集まって株式会社として設立されました。いまは手造りの「雄勝蔵」と自動化設備の「御嶽蔵」という2つの蔵を持ち、自社田で育てた酒米の純米大吟醸から、毎日の晩酌向けの普通酒まで幅広く醸しています。
この記事では、秋田銘醸の歴史と2つの蔵の違い、自社田の「稲シリーズ」、現行ラインナップのスペック比較、燗酒コンテストでの評価、季節限定酒、そして酒蔵見学と購入方法まで、公式サイトの公表値をもとに順番に整理します。どの1本から試せばいいかまでわかるように書きましたので、選ぶときの参考にしてください。
・秋田銘醸と「美酒爛漫」の関係、1922年設立からの歩み
・雄勝蔵と御嶽蔵、2つの蔵の役割の違い
・環稲・萌稲・かおりらんまんなど現行銘柄の精米歩合・日本酒度・価格の比較
・酒蔵見学の2コースと料金、失敗しない予約と購入の方法
秋田銘醸とはどんな酒蔵?「美酒爛漫」を100年醸す湯沢の蔵

有志88名が立ち上げた、当時珍しい「株式会社の酒蔵」
秋田銘醸は、家業として代々続いてきた多くの酒蔵とは成り立ちがまったく違う蔵です。公式サイトの「美酒爛漫の歴史」によると、大正11年(1922年)、「まろやかで奥深い秋田の美酒を全国へ」という願いを受けて、県内の酒造家や政財界人などの有志88名が集まり、当時としては珍しい株式会社として起ち上げられました。
なぜ株式会社だったのかというと、目的が「秋田の酒を県外の大市場へ出すこと」だったからです。県外で地盤を築くには、品質の優れた酒であることに加えて、ある程度の量を安定して供給できることが条件になります。そのため秋田銘醸は、設立当初から一万石の醸造ができる近代的な設備を備えた工場として設計・建築されました。酒造りが家内工業だった時代に、これは画期的なことでした。
ラベルの裏を見ると、製造者欄に「秋田銘醸株式会社」とあり、表ラベルには「美酒爛漫」や「爛漫」と大きく書かれています。社名と銘柄名が別なので、酒販店の棚では「爛漫」の名前で探すのが近道です。なお、2022年に誕生100周年を迎え、現在は8代目の京野學さんが代表取締役社長を務めています。
「東北の灘」と呼ばれた湯沢が選ばれた理由
秋田銘醸が湯沢市に設立されたのは、この土地がもともと日本酒造りに向いた条件を持っていたからです。公式サイトでは、湯沢市は秋田の中でも特に酒米の生産量が多く、酒造りが盛んなことから「東北の灘」として知られていたと紹介されています。
秋田県全体で見ても、酒どころとしての歴史は長く、1618年に佐竹藩が幕府に提出した口上書には、藩内に746の酒造家があったと記されているそうです。秋田酒が栄えた理由として、公式サイトは「米質の優れた秋田米の産地であること」「良質な醸造用水を豊富に用意できたこと」「中冬から翌年3月にかけての酒造期が降雪寒冷期であること」の3点を挙げています。
寒さが厳しい土地では、もろみの温度を低く保ちやすく、雑菌の繁殖も抑えられます。これは後で紹介する「低温長期発酵」に直結する条件です。湯沢の町を歩くと、雪深い冬の景色の中に酒蔵が点在していて、酒と土地が切り離せない関係にあることが伝わってきます。秋田の他の蔵もあわせて知りたい方は、こちらの記事が参考になります。

「秋田のお酒はおいしいと聞くけれど、蔵がいくつあって、どこから手をつければいいのかわからない」——日本酒売り場で秋田の棚を前に、そう立ち止まった経験はありません…
「爛漫」の名は一般公募で決まった
銘柄名の「爛漫」は、蔵の人が考えた名前ではなく、一般公募で選ばれた名前です。公式の沿革には、大正12年(1923年)3月15日に酒名「爛漫」が公募で決定したと記録されています。
「爛漫」は花が咲き乱れるさまを表す言葉で、公式サイトでは「飲むたびに気持ちが明るくなり、思わず笑みがこぼれるような酒」という思いが込められていると説明されています。ブランド・スローガンは「しあわせ、なみなみ。」。あふれんばかりの美味しさで心を満たしたい、という意味です。
ラベルの表記は「美酒爛漫」「爛漫」「らんまん」とひらがなのものまであり、商品によって使い分けられています。たとえば「かおりらんまん」はひらがな、「みちのく吟醸 花爛漫」は漢字です。通販サイトで検索するときは、漢字とひらがなの両方で検索すると取りこぼしが減ります。ちなみに、昭和9年(1934年)には夏場に飲む冷酒として「冷涼爛漫」を発売しており、冷酒という飲み方がまだ珍しかった時代から新しい提案をしてきた蔵でもあります。
100年の歩みを年表で整理
秋田銘醸の歩みは、公式サイトの沿革に細かく記録されています。記事で触れる主な出来事だけを抜き出すと、次のようになります。数字はすべて公式サイトの記載どおりです。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1922年 | 有志88名により秋田銘醸株式会社を設立 |
| 1923年 | 酒名「爛漫」が公募で決定 |
| 1934年 | 夏の冷酒「冷涼爛漫」を発売 |
| 1965年 | 雄勝蔵が竣工 |
| 1982年 | 御嶽蔵が完成 |
| 2022年 | 創業100年、自社田での酒米栽培を開始 |

この年表でわかるのは、秋田銘醸が「量を造る設備」と「質を磨く手造り」の両方に投資してきたことです。1970年代には昭和49年度に販売数量10万石を突破し、秋田を代表する銘柄の地位を固めました。次の章では、その両立を支える2つの蔵を詳しく見ていきます。
雄勝蔵と御嶽蔵、2つの蔵は何が違う?
雄勝蔵は昔ながらの手法で大吟醸を醸す蔵
雄勝蔵は、手間のかかる大吟醸酒などを昔ながらの手法で造るための蔵です。公式サイトの歴史ページでは、美酒爛漫は「タイプの異なる2つの蔵」で品質・量・種類の両立を図ったと説明されており、そのうち雄勝蔵が伝統的な造りを受け持っています。竣工は昭和40年(1965年)です。
大吟醸は、国税庁の「清酒の製法品質表示基準」で精米歩合50%以下と定められ、さらに「吟醸造り」で造ることが要件になっています。米を半分以下まで削り、低い温度でゆっくり発酵させるため、麹づくりやもろみの温度管理に細かな手作業が欠かせません。この工程を大量生産の設備で行うのは難しく、専用の蔵を分けることで品質を保っているわけです。
雄勝蔵で醸されるお酒の代表が、自社田栽培の「百田」を40%まで磨いた「大吟醸らんまん」や、35%まで磨いた「大吟醸 牡丹」です。贈答用の上位酒を選ぶときは、ラベルの精米歩合が40%や35%と書かれたものが、手間をかけた造りの目印になります。特定名称の基準をもっと詳しく知りたい方は、国税庁「清酒の製法品質表示基準の概要」で原文を確認できます。
御嶽蔵はオートメーション化で多くの種類を安定生産
御嶽蔵は、昭和57年(1982年)に完成した、オートメーション化された醸造設備を持つ蔵です。公式サイトでは、御嶽蔵が「より多くの種類の酒を生産」する役割を担っていると説明されています。
全国のスーパーやコンビニの棚に並ぶ普通酒や本醸造、紙パックの商品は、毎年同じ味で、同じ量を届けることが求められます。人の手だけでは季節や体調でどうしてもぶれが出ますが、温度や時間を機械で管理すれば、同じ品質を大量に再現できます。10万石という生産量に到達できたのは、この仕組みがあったからです。
「機械で造るお酒は味が落ちるのでは」と心配する方もいるかもしれませんが、公式サイトは「品質第一」を一貫して掲げています。実際に、スーパーでも見かける「本醸造」が全国燗酒コンテスト2026のお値打ち熱燗部門で最上位の賞を受けており、日常酒の品質が第三者の審査でも評価されています。手造りか機械かより、「その酒をどの温度で飲むとおいしいか」で選ぶ方が満足度は上がります。
山内杜氏の技と「約25日間」の低温長期発酵
2つの蔵に共通する造りの柱は、山内杜氏の技と低温長期発酵です。公式サイトの「私たちの酒造り」によると、全国五大杜氏の一つである秋田伝来の「山内杜氏」の流れを汲む杜氏を筆頭に、蔵人たちが酒造りに向き合っています。
低温長期発酵とは、低温環境で雑菌の侵入を防ぎながら急激な発酵を抑え、ゆっくりと発酵を誘導する手法です。公式サイトでは、もろみの発酵は約25日間とされています。発酵を急がせないことで、香りの成分が逃げにくく、口当たりのなめらかなお酒に仕上がります。
ラベルや商品説明で「長期低温醸造」「秋田流の低温長期醸造」という言葉を見かけたら、この造りのことを指しています。たとえば「みちのく吟醸 花爛漫」の商品説明にも「長期低温醸造で醸した旨口吟醸酒」と書かれています。口に含むと角が立たず、米の甘みがふわっと広がって、後味はすっと引いていく。秋田の酒によく言われる「まろやかさ」は、この寒冷地ならではの発酵管理から生まれています。
旨みの源は「突ハゼ麹」
美酒爛漫の味わいを語るうえで、もう一つ外せないのが麹です。公式サイトでは「突ハゼ麹」によって旨みのある酒を造ると説明されています。突ハゼ麹とは、麹菌が米粒の表面に広がるのではなく、米粒の内部まで深く入り込むタイプの麹のことです。
麹菌が米の芯まで入り込むと、でんぷんを糖に変える働きが長く続きます。その結果、もろみの中でじっくり糖分が供給され、低温でも発酵が止まらず、米の旨みがしっかり乗ったお酒になります。低温長期発酵と突ハゼ麹は、いわば車の両輪のような関係です。
この「旨みのある酒」という特徴は、燗酒にしたときにはっきり表れます。冷やすと引き締まった印象でも、ぬる燗にするとふくらみが増すのは、米の旨みがたっぷり溶け込んでいるからです。注意点として、麹の種類はラベルには書かれていないことがほとんどなので、蔵の造りの考え方を知りたいときは、公式サイトの「私たちの酒造り」のページを読むのが確実です。
| 比較項目 | 雄勝蔵 | 御嶽蔵 |
|---|---|---|
| 完成 | 1965年 | 1982年 |
| 造りの方式 | 昔ながらの手法 | オートメーション化 |
| 主な役割 | 大吟醸酒などの上位酒 | 多くの種類を安定生産 |
| 共通点 | 山内杜氏の技・低温長期発酵・突ハゼ麹 | |
自社田で米から育てる「稲シリーズ」の実力

8.1ヘクタールの田んぼを社員が耕す
秋田銘醸は、創立100周年を機に自社田での酒米栽培を始めました。公式サイトの「自社田栽培について」によると、地元湯沢の農業生産者から託された8.1ヘクタールの田んぼで、百田・一穂積・秋田酒こまちの3品種を育てています。初年度には730俵の酒米を確保しました。
特徴は、種まきから精米までのすべてを社員の手で行うことです。育苗、田植え、稲刈り、籾摺りまで蔵の社員が自ら担う「一貫生産」の体制で、公式サイトはこれを「テロワール」から「ドメーヌ」への追求と表現しています。ワインのドメーヌのように、畑から瓶詰めまでを一つの造り手が手がけるスタイルです。
背景にあるのは、酒米の産地として栄えた湯沢の農業を再び活性化し、「酒米の里」を復活させたいという思いです。米の価格や担い手不足で田んぼが手放されていく中、蔵が自ら田を引き受けることで、地域の風景ごと守ろうとしているわけです。2026年には稲刈りツアーの参加者も募集されていて、飲み手が田んぼに関わる機会も生まれています。
「百田」と「一穂積」、2つの酒米の味の違い
稲シリーズの主役は、秋田の新しい酒米である「百田」と「一穂積」です。公式サイトでは、秋田県産ではこれまで難しいとされてきた「ふくらみ」を豊かに感じる芳醇な百田と、ふくらみがありながらもきりっと淡麗な一穂積、と対比して紹介されています。
数値で比べると違いが見えやすくなります。同じ純米酒の萌稲で比べると、百田は日本酒度+2.0・酸度1.3、一穂積は日本酒度±0・酸度1.5です。酸度が高いほど味の輪郭がくっきりし、後味がきれいに切れる傾向があります。一穂積の「キレのある味わい」という説明は、この酸度の高さとよく合っています。
選び方の目安としては、焼き鳥やきのこ料理のように旨みの濃い料理には百田、刺身や焼き魚、煮物など素材を生かした和食には一穂積、と公式のペアリング提案に沿って選ぶと外れにくいです。どちらか迷ったら、300mlを2本買って飲み比べると、同じ蔵・同じ造りでも米だけでここまで変わるのか、という発見があります。
純米大吟醸「環稲」は精米歩合40%の贈り物向け
稲シリーズの上位酒が、純米大吟醸「環稲(たまきね)」です。自社田栽培の百田、または一穂積を精米歩合40%まで磨いて醸しています。価格はどちらも720mlで3,300円(税込)です。
| 酒蔵・産地 | 秋田銘醸(秋田県湯沢市) |
| 特定名称 | 純米大吟醸酒(自社田栽培百田100%) |
| 精米歩合 | 40% |
| アルコール度数 | 15度以上16度未満(日本酒度-1.0・酸度1.3) |
| 内容量・価格 | 720ml/3,300円(税込・公式) |
| おすすめの飲み方 | 冷やしてワイングラスで香りを楽しむ |
環稲 百田はIWC2026でゴールドメダル、環稲 一穂積はワイングラスでおいしい日本酒アワード2026で最上位の賞を受けています。百田は日本酒度-1.0でふくらみのある豊かな味わい、一穂積は日本酒度-2.0で米の甘さと爽やかな酸味、と公式では説明されています。どちらも数値上はやや甘口寄りです。
贈り物にする場合は、2本を組み合わせた「環稲セット」(1,440ml)もあります。注意したいのは、精米歩合40%の純米大吟醸は香りが繊細なので、熱燗にすると華やかな吟醸香が飛びやすいことです。冷やすか、室温程度で飲むのがこのお酒の長所を生かす飲み方です。精米歩合の数字の意味をあらためて整理したい方は、こちらの記事もどうぞ。

日本酒のラベルに小さく書かれた「精米歩合50%」という数字。なんとなく高級そうだとは思っても、その数字が味や香りにどう関わるのか、正確に説明できる人は意外と多く…
純米酒「萌稲」は精米歩合70%で燗にも強い
環稲と同じ自社田米で、もっと気軽に飲めるのが純米酒「萌稲(もね)」です。精米歩合は70%、アルコール度数は14度以上15度未満。価格は720mlで1,430円、300mlで660円、180mlで460円(すべて税込・公式オンラインストア)です。
精米歩合70%は、米の外側をあまり削らない数値です。外側に多いたんぱく質や脂質が残るぶん、雑味と紙一重の「米の旨み」がしっかり出ます。この旨みは冷やすと控えめですが、温めると一気に開きます。萌稲 百田が全国燗酒コンテスト2024で金賞を受けているのも、燗向きの設計であることの裏付けです。
公式の商品説明でも、萌稲 百田は「冷酒では軽やかに、ぬる燗では旨みがより豊かに」とされています。一本で冷とぬる燗の両方を楽しめるので、日本酒の温度による変化を体験したい初心者の練習用にも向いています。注意点として、アルコール度数が14度以上15度未満とやや低めなので、ロックで氷を入れると薄まりやすく、氷は1個程度に抑えると味がぼやけません。
秋田銘醸の日本酒はどれを選ぶ?現行ラインナップを数値で比較
日本酒の教科書調べ:主要9本の公式スペック比較表
秋田銘醸の日本酒は、稲シリーズ・かおりシリーズ・極み・折々(季節酒)・親しみ(定番酒)の5つに分かれています。種類が多くて迷いやすいので、日本酒の教科書で公式オンラインストアの公表値を集計し、主要9本を1つの表にまとめました(価格は720mlの税込価格)。
| 銘柄 | 精米歩合 | 日本酒度 | 酸度 | 720ml価格 |
|---|---|---|---|---|
| 環稲 百田(純米大吟醸) | 40% | -1.0 | 1.3 | 3,300円 |
| 環稲 一穂積(純米大吟醸) | 40% | -2.0 | 1.3 | 3,300円 |
| かおりらんまん 純米大吟醸 | 50% | +3.0 | 1.2 | 1,650円 |
| かおりらんまん 純米吟醸 | 60% | +2.0 | 1.6 | 1,430円 |
| 萌稲 百田(純米酒) | 70% | +2.0 | 1.3 | 1,430円 |
| みちのく吟醸 花爛漫 | 55% | ±0 | 1.6 | 1,540円 |
| かおりらんまん 純米酒 | 75% | +6.0 | 1.5 | 1,210円 |
| 生もと特醸酒(本醸造) | 65% | ±0 | 1.3 | 1,291円 |
| 爛漫 普通酒 | 72% | ±0 | 1.3 | 905円 |
表から読み取れるのは、秋田銘醸の日本酒度が-2.0から+6.0の範囲に収まり、極端な甘口・辛口がないことです。酸度も1.2〜1.6と穏やかで、どれも食事の邪魔をしにくい設計になっています。価格は普通酒の905円から環稲の3,300円までで、純米吟醸クラスが1,430円で買えるのは地方蔵の中でも手に取りやすい水準です。
かおりシリーズは香りで選ぶ3本
香りを重視するなら、かおりシリーズが第一候補です。純米大吟醸・純米吟醸・純米酒の3本があり、どれも公式オンラインストアで1,650円以下で買えます。
純米大吟醸(1,650円)と純米吟醸(1,430円)は、自社田で栽培した「秋田酒こまち」を100%使い、「こまち酵母スペシャル」で醸しています。純米大吟醸は爽やかな果実の香りと透明感のある味わい、純米吟醸は華やかな香りとやわらかな旨みが特徴です。純米吟醸は、ワイングラスでおいしい日本酒アワード2026メイン部門で5年連続の金賞を受けています。
純米酒(1,210円)は少し毛色が違い、秋田県と共同研究した酒米「ぎんさん」と「きょうかい酵母1801号」の組み合わせで、青りんごやマスカットのような香りを引き出しています。日本酒度+6.0と表の中でいちばん辛口寄りなので、香りは華やかでも後味はすっきり。フルーティーなお酒は甘いものばかりと思っている方ほど、この1本で印象が変わるはずです。
毎日の晩酌なら「親しみ」シリーズ
毎日の晩酌用には、公式サイトで「親しみ いつもの美酒爛漫」とくくられている定番酒が向いています。スーパーで見かける「爛漫」の多くはこのシリーズです。
代表的なのが、720mlで905円の「爛漫 普通酒」、1,155円の「純米まなぐ凧」、1,291円の「生もと特醸酒」です。純米まなぐ凧は秋田県産あきたこまちを100%使い、麹米65%・掛米70%で磨いた純米酒で、湯沢伝統の「まなぐ凧」を描いたラベルが目を引きます。生もと特醸酒は、手間のかかる生もと造りの本醸造で、丸みのある旨みと腰の強さが持ち味です。
もう一本、個性派として覚えておきたいのが「本醸造 原酒湯沢」(1,480円)。水を加えない原酒で、アルコール度数は19度以上20度未満と高めです。濃醇な味わいながら後口の切れがよく、氷を1〜2個入れたロックにすると飲みやすくなります。度数が高いぶん、ふだんの日本酒と同じペースで飲まないよう注意してください。原酒の特徴はこちらの記事で詳しく解説しています。

日本酒のラベルで「原酒」の文字を見かけて、「普通の日本酒と何が違うの?」「アルコール度数が高そうで手が出しにくい」と感じたことはありませんか。原酒はマニア向けの…
贈答用なら「極み」シリーズの大吟醸
お祝いや目上の方への贈り物なら、最上位の「極み」シリーズが候補になります。公式サイトでは、厳選した酒米を40%以下に磨き抜き、山内杜氏伝統の技を注ぎ込んで醸した大吟醸と紹介されています。
価格帯は幅広く、日本画家・川端龍子の作品をラベルにした「純米大吟醸 唐獅子」と「大吟醸 牡丹」がそれぞれ720mlで3,850円、自社田栽培の百田を40%まで磨いた限定蔵出しの「大吟醸らんまん」が5,500円、その原酒版「限定蔵出し 原酒大吟醸爛漫」が8,800円です。牡丹は精米歩合35%まで磨かれていて、華やかでフルーティな香りとすっきりした喉ごしが特徴です。
選ぶときの注意点は、「限定蔵出し」と書かれた商品は数量が限られていて、時期によっては公式オンラインストアでも品切れになることです。贈る日が決まっているなら、2〜3週間前には在庫を確認しておくと安心です。唐獅子・牡丹は180mlの小瓶もあるので、自分用の味見にはそちらを選ぶのも一つの方法です。
燗で本領を発揮するのはなぜ?燗酒コンテストの評価から読み解く
全国燗酒コンテスト2026で4本が入賞
秋田銘醸のお酒をひと言で表すなら「燗で化ける酒」です。公式サイトのお知らせによると、全国燗酒コンテスト2026では、お値打ち熱燗部門(50℃~55℃)で「本醸造」が最上位の賞に、お値打ちぬる燗部門(42℃~45℃)で「美酒パック」と「かおりらんまん純米吟醸」が金賞に、極上お値打ちぬる燗部門(42℃~45℃)で「みちのく吟醸 花爛漫」が金賞に選ばれました。
注目したいのは、どれも「お値打ち」部門であることです。この部門は手頃な価格帯のお酒を対象にしていて、紙パックの美酒パックまで入賞しているのは、日常酒の品質の高さを示しています。過去にも、生もと特醸酒が全国燗酒コンテスト2023で、純米まなぐ凧が2022で、萌稲 百田が2024でそれぞれ受賞しています。
実は、意外と知られていないけれど、秋田銘醸は海外の審査会でも普通酒が評価されてきた蔵です。沿革を見ると、IWC2019とIWC2020の「普通酒の部」でシルバーメダルを受けています。高級酒ばかりが話題になりがちですが、この蔵の真価は「安くて燗にしておいしい酒」を安定して造り続けていることにある、と言ってもよいでしょう。燗酒の基本についてはこちらの記事にまとめています。

「燗とは、どのくらいの温度で温めた日本酒のことなの?」——居酒屋のメニューで「熱燗」「ぬる燗」といった言葉を見かけて、その違いが気になったことはありませんか。同…
燗向きの酒は数値で見分けられる
燗にしておいしくなるかどうかは、ラベルの数値からある程度予想できます。目安になるのは、精米歩合・酸度・アミノ酸度の3つです。
精米歩合が60%〜70%台のお酒は、米の外側の成分が残っているぶん旨みの要素が多く、温めるとそれが開きます。酸度が1.5前後あると、温めても味がだれずに輪郭が保たれます。アミノ酸度は旨みやコクの指標で、高いほど燗で存在感が出ます。たとえば「本醸造 原酒湯沢」は酸度1.8・アミノ酸度1.6と、表の中でもっとも燗向きの数値を持っています。
反対に、かおりらんまん 純米大吟醸のように酸度1.2・アミノ酸度0.9の軽やかなお酒は、冷やして香りを楽しむタイプです。とはいえ、かおりらんまん純米吟醸のように香りと酸(酸度1.6)の両方を持つお酒は、冷とぬる燗の両方でおいしく飲めます。公式オンラインストアの商品ページには「おすすめの飲み方」として5つの温度帯の表示があるので、買う前に確認しておくと失敗しません。
湯煎でつくるぬる燗の手順
受賞部門のぬる燗(42℃~45℃)を家庭で再現するなら、電子レンジよりも湯煎がおすすめです。湯煎は徳利全体がゆっくり温まるので、温度ムラが出にくく、香りが飛びにくいからです。
温度計があれば、コンテストの基準と同じ42℃~45℃を狙うのがいちばん確実です。温度計がない場合は、徳利を持ったときに「熱い」ではなく「温かい」と感じるくらいが目安になります。
失敗パターン①:純米大吟醸を熱燗にして香りを飛ばす
よくある失敗が、「燗で評価の高い蔵だから」と、環稲やかおりらんまん純米大吟醸のような香りの華やかなお酒まで熱燗にしてしまうケースです。せっかくの果実のような吟醸香が湯気と一緒に抜けてしまい、残るのはアルコールの刺激ばかり、ということになりがちです。
原因は、吟醸香の成分が揮発しやすいことにあります。精米歩合40%や50%まで磨いた純米大吟醸は、旨みの要素を削って香りを主役にしたお酒なので、温めて伸びる旨みがもともと少ないのです。コンテストで入賞しているのも、本醸造や吟醸、純米吟醸といった旨みのあるお酒で、純米大吟醸ではありません。
対策はシンプルで、「燗にするのは精米歩合55%以上、酸度1.5以上のお酒」と覚えておくことです。美酒爛漫なら、花爛漫(55%・酸度1.6)、かおりらんまん純米吟醸(60%・酸度1.6)、萌稲 一穂積(70%・酸度1.5)、原酒湯沢(70%・酸度1.8)あたりが燗向きです。純米大吟醸は冷やして、ワイングラスで香りを楽しんでください。
電子レンジで温めた徳利は、口の部分だけが熱くなっていることがあります。注ぐ前に一度軽く振って温度を均一にし、持つときは首ではなく胴を持ちましょう。また、20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。
季節ごとに変わる美酒爛漫の限定酒
冬〜春はしぼりたてと無濾過原酒
秋田銘醸の季節酒は、公式サイトで「折々 季節を感じる美酒爛漫」としてまとめられています。冬から春にかけては、新米で醸したしぼりたての新酒が出回ります。
「本醸造 新酒しぼりたて」は720mlで1,118円。穫れたての新米で醸した酒のしぼりたてのうまさを、そのまま瓶詰めしたお酒です。同じ時期には、しぼりたての淡い濁りごと瓶詰めした「ふなばしり」や、秋田県産米100%の「純米新酒しぼりたて」、濾過せずに瓶詰めした「無濾過原酒 純米大吟醸」(720ml・1,650円)も並びます。
しぼりたてや無濾過原酒は、瑞々しさと華やかさが魅力ですが、フレッシュさが命なので、買ったら冷蔵庫で保管し、早めに飲み切るのがおすすめです。とくに無濾過の原酒は、時間がたつと味わいが変化しやすいタイプです。冬の新酒は毎年の造りによって味が少しずつ違うので、「今年の出来」を楽しむつもりで手に取ると面白さが増します。
夏は1934年生まれの「吟醸冷涼」
夏の季節酒で歴史が古いのが「吟醸冷涼」です。公式サイトには、昭和9年に当時の日本酒としては珍しい夏場に飲む冷酒として発売されたと記されています。いまの吟醸冷涼は720mlで1,595円です。
喉越し軽快で爽やかな香りの旨口吟醸酒で、冷蔵庫でしっかり冷やして飲むのが基本です。日本酒を冷やして飲む習慣が一般的になったのは比較的最近のことですが、秋田銘醸はそのずっと前から「夏の冷酒」という提案をしていたことになります。夏には秋田県産米100%の「夏の純米酒」や、アルコール13%のにごり酒「瀬音」も登場します。
夏の冷酒は、キンキンに冷やしすぎると香りも味も感じにくくなります。冷蔵庫から出して5分ほど置き、グラスの表面にうっすら水滴がつくくらいで飲むと、香りと旨みのバランスがよくなります。枝豆や冷ややっこのような軽いおつまみと合わせると、夏の晩酌にぴったりの一杯です。
秋は「純米吟醸 ひやおろし」、2026年9月に発売告知
秋の季節酒は「爛漫 純米吟醸 ひやおろし」です。公式サイトのお知らせでは、2026年9月14日に「純米吟醸ひやおろし」と「むかしながらのにごり酒」の発売が告知されました。価格はひやおろしが720mlで1,705円、むかしながらのにごり酒が720mlで1,069円です。
ひやおろしは、寒さの厳しい冬場に仕込んでフレッシュなまま瓶詰めし、ひと夏低温で熟成させたお酒です。公式サイトでは「フルーティな香りとまろやかな味わい」と説明されています。春の新酒に比べて角が取れ、口に含むと丸みのある甘みがふわっと広がるのが熟成を経たお酒の特徴です。
むかしながらのにごり酒は、とろりとした新鮮な甘味となめらかな口当たりのにごり酒で、秋から冬にかけての季節商品です。どちらも季節限定なので、販売期間は公式サイトや公式オンラインストアで確認しておくと安心です。秋刀魚の塩焼きやきのこ料理など、秋の味覚と合わせるのがおすすめです。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ◎ | ◎ | ○ | △ | △ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | ◎ |
◎=季節酒が出そろう時期(冬〜春の新酒・秋のひやおろし・正月酒) ○=夏酒・にごり酒など △=季節酒が少ない時期。公式サイトの季節区分をもとにした目安です
正月は金箔入りの祝い酒
年末年始には、お正月や慶事向けの縁起酒が並びます。公式サイトの「正月の美酒爛漫」には、金箔入りの「御神酒」や、瓶に水引飾りを施した「純金箔入り 祝美酒」、菰(こも)を巻いた小さな「豆菰樽」、あきたこまち100%の「菰巻き純米酒」が掲載されています。
菰樽は、飾り樽と同じように祝儀に贈る酒樽で「祝樽」とも呼ばれるものです。菰にはもともと、温度や湿度から中のお酒を守る役割がありました。菰巻き純米酒は、飲み終えた後も飾り物として使えるので、帰省の手土産やお正月の食卓の飾りにも向いています。
注意点として、正月向けの商品は年末に需要が集中するため、12月後半になると品切れや配送の遅れが出やすくなります。お正月に間に合わせたいなら、12月上旬までに注文しておくのが無難です。お祝いの席でお酒を飲まない方が多い場合は、小さな御神酒を配るなど、量を控えめにする工夫もできます。
蔵見学と購入方法、湯沢で美酒爛漫を楽しむには
酒蔵見学は2コース、試飲つきで予約制
秋田銘醸では、一年を通じて酒蔵見学を受け付けています。公式の見学案内ページによると、コースは2種類あり、所要約60分の「通常コース」が1,000円(税込)、所要約90分の「蔵人コース」が1,800円(税込)です。
通常コースは9:30/11:00/13:30/15:00の1日4回、蔵人コースは10:00/14:00の1日2回の設定です。どちらも酒造り工程の説明、蔵内の案内、試飲がセットになっています。試飲でアルコール飲料を楽しめるのは20歳以上の方だけで、20歳未満の方や車を運転する方にはアルコールを含まない飲料が用意されています。
見学の後は売店を利用できますが、売店の時間は見学時間に含まれないので、買い物をしたいなら前後に余裕を持った予定を組んでおくと安心です。電車の場合、アクセスはJR湯沢駅より徒歩約15分またはタクシーで約5分です。詳しい場所や公式サイトは次のカードで確認できます。
| 住所 | 〒012-0814 秋田県湯沢市大工町4番23号 |
| 電話番号 | 0183-73-3161 |
| 営業時間 | 酒蔵見学(要予約)通常コース 9:30/11:00/13:30/15:00、蔵人コース 10:00/14:00 |
| アクセス | JR湯沢駅より徒歩約15分またはタクシーで約5分 |
| 駐車場 | 無料駐車場あり(普通車 約20台) |
| 公式サイト | 公式サイト |
失敗パターン②:予約なしで蔵を訪ねてしまう
湯沢観光のついでに「近くまで来たから寄ってみよう」と予約なしで蔵を訪ね、見学ができずに外観だけ見て帰る、というのはよくある失敗です。公式サイトには見学は事前予約制と明記されています。
原因は、酒蔵は観光施設ではなく、いまも稼働している製造現場だということです。仕込みの時期は蔵人の手が空かないこともありますし、衛生管理のため見学ルートや人数を事前に調整する必要があります。とくに冬の造りの最盛期は、見学のある日が限られることも考えられます。
対策は、行くと決めたら早めに予約を入れることです。予約はネット予約、メール、電話のいずれかで受け付けています。ネット予約なら空いている日時がカレンダーで確認できるので便利です。グループで訪ねる場合や、蔵人コースを希望する場合は、候補日を2〜3日用意しておくと調整がスムーズです。見学の詳細は美酒爛漫 酒蔵見学の公式ページで確認できます。
通販なら公式オンラインストアが確実
湯沢まで行けない方は、公式オンラインストアを使うのがいちばん確実です。この記事で紹介した価格はすべて公式オンラインストアの税込価格で、商品ページには原料米・精米歩合・日本酒度・酸度・アミノ酸度まで詳しく掲載されています。
送料は地域ごとに決まっていて、6,000円(税込)以上の購入で送料無料になります。たとえば、かおりらんまん純米吟醸の1800ml(3,168円)と環稲 百田(3,300円)を組み合わせると条件を満たせます。要冷蔵の商品はクール宅急便で届きます。
身近な店で買いたい場合は、公式サイトに「美酒爛漫が飲める店」のページがあり、2026年8月18日にも更新されています。ただし、スーパーや量販店の棚に並ぶのは普通酒や定番の純米酒が中心で、稲シリーズや極みシリーズは取り扱いが限られることがあります。確実に手に入れたい銘柄が決まっているなら、公式オンラインストアで在庫を確認するのが近道です。
シーン別・タイプ別のおすすめの選び方
ここまでの内容を、飲む人のタイプ別に整理しておきます。どれも公式の説明と数値にもとづいた提案です。
日本酒を飲み始めたばかりの方には、かおりらんまん純米吟醸(1,430円)か、萌稲の300ml(660円)。量が少なく、温度を変えて試しやすいからです。香りの華やかなお酒が好きな方には、かおりらんまん純米大吟醸(1,650円)。精米歩合50%・日本酒度+3.0で、果実の香りと透明感のある味わいです。
燗酒が好きな方には、みちのく吟醸 花爛漫(1,540円)や生もと特醸酒(1,291円)。どちらも燗酒コンテストでの評価がある銘柄です。毎日の晩酌用なら、爛漫 普通酒(905円)や純米まなぐ凧(1,155円)がコスパのよい選択肢になります。
贈り物なら、自社田米の物語を添えられる環稲(3,300円)か、ラベルに日本画をあしらった唐獅子・牡丹(各3,850円)。相手が日本酒好きなら、飲み比べできる環稲セットも喜ばれます。濃いお酒をじっくり味わいたい方には、アルコール度数19度以上20度未満の本醸造 原酒湯沢(1,480円)をロックで、という楽しみ方もあります。
自社田の百田を40%まで磨いた、物語ごと贈れる純米大吟醸▼
まとめ
秋田銘醸の魅力は、手頃な定番酒から自社田米の純米大吟醸まで、どの価格帯にも「燗でも冷でもおいしい」設計が行き届いていることです。最初の一歩として、今週末はかおりらんまん純米吟醸を1本用意して、同じお酒を冷とぬる燗で飲み比べてみてください。温度で表情が変わる美酒爛漫らしさが、きっと実感できるはずです。
湯沢まで足を延ばせる方は、事前予約をしたうえで酒蔵見学に参加すると、2つの蔵の違いや山内杜氏の技を自分の目で確かめられます。季節ごとに出る限定酒も、公式サイトのお知らせを時々のぞいておくと見逃しません。
※価格・スペック・見学内容は2026年9月時点の公式サイトの情報です。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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