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「横手市の大森町にある酒造会社って、どんな蔵なんだろう」「地元の人に教えてもらった『大納川』という名前は聞いたけれど、どれを買えばいいのかわからない」。そんなふうに、町の名前から酒蔵を探している方は少なくありません。横手と聞くと、増田の蔵や浅舞の蔵を思い浮かべる日本酒好きも多いので、大森町の蔵は少しだけ見つけにくい存在かもしれません。
先に答えをお伝えすると、横手市大森町に蔵を構える酒造会社は株式会社大納川(だいながわ)です。1914年(大正3年)に酒造りを始めた蔵で、2019年に事業が引き継がれてからは全量を純米造りに切り替え、蔵人5名という小さな体制で「大納川」「天花」「山内杜氏」などのブランドを醸しています。
この記事では、蔵の歴史と再出発の経緯、4つのブランドの違い、定番酒の公式スペックと価格、季節限定酒の時期、そして買い方・訪ね方までを順番に整理しました。初めての1本選びから、蔵のある大森町の楽しみ方まで、この記事1本でまとめてわかるように書いています。
・横手市大森町の酒造会社「株式会社大納川」の成り立ちと造りの特徴
・大納川/天花/山内杜氏/Omoriの4ブランドの違い
・定番酒の精米歩合・日本酒度・価格を並べた比較表
・ひやおろしなど季節限定酒の販売期間と、失敗しない買い方
横手市大森町の酒造会社「大納川」はどんな蔵?

答えは「保呂羽山のふもとにある蔵人5人の純米蔵」
横手市大森町の酒造会社として名前が挙がるのは、株式会社大納川です。秋田県酒造協同組合の蔵元紹介ページでも、所在地は横手市大森町大森として掲載されています。
蔵があるのは横手盆地の北西部、霊峰・保呂羽山(ほろわさん)のふもと。大納川の公式サイトによると、今から三百年ほど前に船乗りだった先祖がこの地に居を構えて商いを始め、大正三年に酒造業に乗り出したのが蔵の始まりです。会社概要に記された製造石数は700石、造りを担う蔵人は5名。一升瓶に換算すると7万本ほどの規模で、大手の蔵と比べるとずっと小さな酒蔵です。
地元で見分けるときの手がかりは、ラベルに書かれた「大納川」の3文字です。横手市内の酒販店や道の駅では、この銘柄名で並んでいることがほとんどです。
注意したいのは、蔵名と会社名が同じ「大納川」なので、検索すると銘柄の情報と会社の情報が混ざりやすいことです。蔵を訪ねたい場合は「株式会社大納川」、お酒を探したい場合は「大納川 純米吟醸」のように特定名称まで入れると、欲しい情報にたどり着きやすくなります。
全量純米・全量瓶貯蔵に切り替えた理由
いまの大納川は、仕込むお酒がすべて純米酒です。公式サイトには、R1BY(令和元酒造年度)から全量を純米造りに、あわせて全量を瓶貯蔵に変更したと書かれています。製造している酒の種類は純米酒・純米吟醸・純米大吟醸の3つだけです。
純米造りは、醸造アルコールを加えずに米と米麹と水だけで醸す方法です。米の旨みがそのまま酒に出るぶん、原料米の質や麹づくりの差がごまかせません。瓶貯蔵は、搾ったお酒をタンクではなく瓶に詰めて寝かせる方法で、空気に触れる面積が小さく、温度の管理もしやすくなります。小さな蔵が「一本一本の品質をそろえる」ために選びやすい方法です。
店頭で見分けるなら、ラベルの特定名称を見てください。大納川のお酒なら「純米」「特別純米」「純米吟醸」「純米大吟醸」のいずれかが必ず書かれています。本醸造や普通酒は現行の造りにはありません。
豆知識として、酒販店の在庫に古いラベルの本醸造などが残っている可能性はゼロではありません。気になる方は、裏ラベルの原材料名に「醸造アルコール」があるかどうかを確認すると確実です。

「純米酒って、ふつうの日本酒と何が違うの?」——酒屋の店頭でいちばん多く受ける質問のひとつです。ラベルには「純米」「吟醸」「本醸造」といろいろな言葉が並び、値段…
山内杜氏の伝統「秋田寒仕込み」とは
大納川の酒造りを率いるのは、山内杜氏(さんないとうじ)の佐藤好直さんです。会社概要では副杜氏の鈴木圭さんも山内杜氏と紹介されています。山内杜氏は、横手市の山内地区(旧山内村)をふるさとにする杜氏集団で、山内杜氏組合は1922年(大正11年)に山内杜氏養成組合として設立されました。
なぜ横手で杜氏集団が育ったのかというと、山内地区は山林が多い豪雪地帯で、冬のあいだは農作業ができません。そこで男たちが県内の酒蔵へ働きに出るようになり、酒造りの技が受け継がれていきました。公式サイトには「山内杜氏伝統の秋田寒仕込み」で醸すと書かれています。冬の低い気温のなかで、もろみをゆっくり発酵させる造り方です。
家で味わうときは、冷蔵庫から出したばかりの5℃前後よりも、グラスに注いで10分ほど置いた10〜15℃くらいで飲むと、寒仕込みらしいきめ細かな口当たりを感じやすくなります。
知っておくと得するのは、大森町と山内地区はどちらも2005年の合併で横手市になった旧町村だということです。山内杜氏の「地元」とも言える場所で、その杜氏が酒を仕込んでいる。この距離の近さも、大納川を語るうえで欠かせない背景です。
110年の老舗に2019年、何が起きたのか?
「備前酒造本店」から「株式会社大納川」へ
いまの社名になる前、この蔵は「備前酒造本店」という名前でした。1914年の創業以来、銘酒「大納川」は横手の地酒として地元で飲まれてきましたが、平成31年(2019年)、経営不振に陥ったところで事業が承継され、現在の株式会社大納川として再生しています。
事業を引き継いだのは、いま代表取締役を務める田中文悟さんです。蔵のメンバー紹介ページでは「BIG BOSS」という呼び名で紹介され、「必ず、この蔵を再建して見せる。必ず、この町を元気にして見せる」という言葉が掲げられています。取締役社長の稲上憲二さんは、一度酒造りを離れたあとに蔵へ戻ってきた方です。
ラベルで世代の違いを見分けるなら、2019年以降に誕生した「天花」ブランドや、蔵付き酵母を使ったシリーズが新体制の象徴です。
注意点として、古い日本酒の本やガイドには旧社名の備前酒造本店で載っていることがあります。蔵を探すときに名前が一致しなくても、同じ蔵を指している可能性があると覚えておくと混乱しません。
蔵人5人の役割分担は?
公式サイトのコンセプトページには、蔵人一人ひとりの持ち場まで書かれています。社長と副社長が洗米・浸漬・蒸米を担当し、部長が麹を、蔵人が酒母ともろみの管理を受け持つ体制です。
経営者自らが米を洗い、蒸すところまで担うのは、人数が少ない蔵ならではです。洗米や浸漬は、米がどれだけ水を吸うかを秒単位で見極める工程で、ここがずれると麹づくりにも影響します。少人数だからこそ、工程の最初から最後まで顔の見える人が責任を持つ形になっています。
読者の立場で役立つのは、この体制が「小仕込み」「数量限定」の商品が多い理由の説明になっていることです。天花や季節限定酒が短期間で売り切れやすいのは、仕込める量そのものが限られているためです。
豆知識として、大納川は公式サイトで蔵人たちの紹介ページを公開しています。ラベルの向こうにいる造り手の顔を知ってから飲むと、同じ一杯でも受け取り方が変わるはずです。
蔵付き酵母D-29とD-121という武器
新体制の大納川を特徴づけるのが、2種類の蔵付き酵母です。秋田県酒造協同組合の蔵元紹介には「蔵付き酵母D-29とD-121を保有」と書かれており、多くの商品で使われています。
酵母は、糖をアルコールと香りの成分に変える微生物です。全国の蔵で広く使われる「きょうかい酵母」を使えば品質は安定しますが、香りの個性は似通いやすくなります。蔵に住みついた酵母を分離して使うと、その蔵でしか出せない香りの組み合わせが生まれます。
見分け方は簡単で、公式サイトの商品スペック欄に「D-29」「D-121」「蔵付き酵母」と書かれたものが該当します。たとえば天花の月ラベル・生や亀の尾はD-29、エンジェルラベルはD-121です。
一方で、純米大吟醸原酒には「きょうかい1801号」が使われています。華やかな香りを出しやすい酵母で、鑑評会向けの大吟醸でよく選ばれるものです。つまり大納川は、蔵付き酵母で個性を、きょうかい酵母で香りの華やかさを、と使い分けているのです。
・2019年に田中文悟さんが事業を承継し、株式会社大納川として再出発
・R1BYから全量純米造り・全量瓶貯蔵に切り替え
・蔵付き酵母D-29/D-121を使ったシリーズと、特約店限定の「天花」が誕生
・令和8年の山内杜氏組合自醸酒鑑評会で純米大吟醸原酒が首席(横手市長賞・秋田県醸造試験場長賞)を受賞
大納川・天花・山内杜氏・Omori、4ブランドはどう違う?

定番の「大納川」は三温度帯で楽しめる食中酒
蔵の看板ブランドが、社名と同じ「大納川」です。純米・特別純米・純米吟醸・純米大吟醸と特定名称ごとに定番がそろい、季節限定酒やスパークリングもこのブランドから出ています。
定番の「純米 大納川」は、精米歩合70%、アルコール度数15度。オンラインストアの商品説明では「冷や・常温・熱燗の三温度帯で美味しい」スタンダードな酒と紹介されています。米をあまり削らない70%磨きなので、米の旨みと酸がしっかり残り、温めても味がぼやけにくいのです。
食卓での使い方としては、冷やなら刺身や漬物、40℃前後のぬる燗なら焼き魚や煮物、50℃前後の熱燗なら横手名物の焼きそばのような濃い味の料理に合わせてみてください。1本で三通りの表情が見られるので、最初の1本にも向いています。
注意点として、同じ「大納川」でも純米大吟醸は香りを楽しむタイプです。高いほうを熱燗にすると、せっかくの香りが飛んでしまいます。燗をつけるなら純米か特別純米を選ぶのが安全です。
「天花」は特約店限定の無濾過原酒シリーズ
「天花(てんか)」は2019年に生まれた、特約店限定のブランドです。公式サイトによると、北国の澄んだ空気の中に降る雪は天から舞い落ちる花にたとえられ「天花」と呼ばれる、というのが名前の由来です。
天花はすべて無濾過原酒で、少量生産の小仕込み。米違い・酵母違いでラインナップが組まれているのが特徴です。月ラベル・生は山田錦の精米歩合50%、秋酒(茄子ラベル)は美山錦の55%、俵ラベルはあきたこまちの50%、亀の尾は亀の尾の50%、エンジェルラベルはあきたこまちの55%、ハートラベルは秋田酒こまちの55%で、アルコール度数はどれも15度です。
楽しみ方のおすすめは、2本を並べて飲み比べることです。同じD-29酵母でも、山田錦の月ラベルと亀の尾では甘みの出方が違います。公式サイトでは月ラベル・生を「ほのかな甘さとクリアな味わい」、亀の尾を「ほんのり甘く、奥深い旨味」と表現しています。
注意したいのは、天花はオンラインストアの定番一覧には並んでいないことです。特約店限定なので、公式サイトの「買えるお店」から取扱店を探す必要があります。
「山内杜氏」は秋田で大納川だけが使える商標
3つめのブランド「山内杜氏」は、横手市山内の米と水を使うことが条件になっている商標です。公式サイトには「秋田県で唯一この商標で商品化できる」大納川の限定ブランドと書かれています。
仕込みの時期には毎朝山内の水を汲みに行き、山内産の米を100%使って辛口の純米酒を造っているそうです。ラインナップは、500本限定の純米吟醸 限定生酒(精米歩合55%)、純米吟醸(55%)、純米(70%)の3種類で、どれも蔵付き酵母を使ったアルコール度数15度のお酒です。
こんな方におすすめです。秋田の酒造りを支えてきた山内杜氏という存在に興味がある方、そして旅先で「その土地らしさ」がはっきりしたお土産を探している方。ラベルの名前そのものが地域の歴史を語ってくれます。
注意点として、限定生酒は500本限定なので、出会えたらその場で買うのが基本です。生酒は冷蔵保存が前提なので、持ち帰りに時間がかかる場合は保冷バッグを用意しておきましょう。
「Omori」は3種類の樽で熟成させた変わり種
4つめの「Omori(大森)」は、仕込んだ純米吟醸を樽に入れて蔵内で熟成させた特別限定酒です。バーボン樽・シェリー樽・アメリカンホワイトオーク樽の3種類があり、精米歩合はどれも55%、アルコール度数は15度です。
樽の違いで香りがはっきり変わります。公式サイトの説明では、バーボン樽は「香ばしく、甘い味わい」、シェリー樽は「甘みを含んだ果実香豊かな味わい」、アメリカンホワイトオーク樽は「スモーキーフレーバーとバニラや蜂蜜のような香り」とされています。
飲み方は、バーボン樽ならロックやソーダ割りが公式のおすすめです。氷を1〜2個入れたロックグラスに注ぐと、樽の甘い香りが立ちのぼってきます。ウイスキー好きの方への贈り物にも向く1本です。
実は、この樽熟成シリーズこそ、大森町という地名を前面に出したブランドです。日本酒らしさを期待すると驚くかもしれませんが、「町の名前を背負った実験的な酒」として楽しむと、蔵の挑戦する姿勢が伝わってきます。

「日本酒ソーダ割りって、なんだか邪道な気がして手を出せない」——そう感じている方は少なくありません。実際、SNSや酒販店で日本酒ソーダ割りの話題が増えたのはここ…
| 比較項目 | 大納川 | 天花 | 山内杜氏 | Omori |
|---|---|---|---|---|
| 位置づけ | 看板の定番 | 特約店限定 | 山内の米と水 | 樽熟成の限定酒 |
| 精米歩合 | 25〜70% | 50〜55% | 55〜70% | 55% |
| 特徴 | 純米〜純米大吟醸まで | 無濾過原酒・米違い | 辛口の純米系 | バーボン樽など3種 |
| 主な買い方 | 公式通販・県内店 | 特約店 | 取扱店 | 取扱店 |
定番酒の公式スペックと価格を並べると何がわかる?
日本酒の教科書調べ:大納川 定番8本の比較表
大納川のオンラインストアと公式サイトに掲載されているスペックと価格を、日本酒の教科書で1枚の表にまとめました。価格は公式オンラインストアの表示額です。数値は公表値のみで、味の主観的な点数はつけていません。
| 銘柄(720ml) | 精米歩合 | 原料米 | 日本酒度 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| 純米 大納川 | 70% | 国産米 | 非公表 | 1,100円 |
| 特別純米 超辛口 | 60% | あきたこまち | +11 | 1,650円 |
| 純米吟醸 生詰ひやおろし | 55% | 五百万石 | +1 | 1,980円 |
| 純米吟醸 サイコロラベル | 55% | 非公表 | ±0 | 1,980円 |
| 純米吟醸 大納川 | 55% | 秋田酒こまち | 非公表 | 2,200円 |
| 純米大吟醸 大納川 | 45% | 秋田酒こまち | 非公表 | 3,300円 |
| 純米大吟醸原酒 大納川 | 35% | 秋田酒こまち | 非公表 | 6,600円 |
| 純米大吟醸原酒 極 | 25% | 秋田酒こまち | -5 | 27,500円 |
出典:大納川 公式オンラインストア・公式サイトの商品ページ(2026年9月確認)。「非公表」は掲載ページに記載がない項目です。
表を見てわかるのは、精米歩合70%の純米から25%の極まで、米の磨き方で価格が段階的に上がっていく素直な価格設計だということです。720mlの純米が1,100円、純米吟醸が2,200円、純米大吟醸が3,300円と、特定名称が1段上がるごとに価格が上がっていきます。
注意したいのは、日本酒度を公表していない商品が多いことです。甘口か辛口かを数字で判断できるのは、超辛口(+11)、ひやおろし(+1)、サイコロラベル(±0)、極(-5)の4本だけです。
「超辛口 +11」を選んで後悔するパターン
よくある失敗が、「日本酒度+11なら、口の中がひりつくほど辛いはず」と思い込んで買い、飲んでみたら米の旨みが思ったより前に出てきて戸惑うケースです。逆に「辛口が苦手だから+11は無理」と最初から避けてしまうのも、もったいない選び方です。
原因は、日本酒度が「甘辛の目安」でしかないことにあります。日本酒度は比重をもとにした数値で、プラスが大きいほど糖分が少ない傾向を示しますが、酸の量や旨み成分の量によって、実際に舌で感じる辛さは変わります。オンラインストアの商品説明でも、この超辛口は「あきたこまち由来の旨み」を持つ食中酒として紹介されています。
対策は、日本酒度だけで決めず、商品説明の「旨み」「キレ」といった言葉もあわせて読むことです。キレの良い辛口を食事と合わせたいなら超辛口、穏やかにバランスよく飲みたいならサイコロラベルの±0、というふうに、合わせたい料理から逆算すると外しにくくなります。
豆知識として、超辛口の原料米は公式サイトのブランドページでは「国産米」、オンラインストアの商品説明では「あきたこまち」と表記されています。食用米の品種で醸していることが、辛口なのに旨みが残る理由のひとつと考えられます。

「日本酒度+5」と書かれたラベルを手に取って、これは辛口なのか甘口なのか、なんとなく迷ったことはありませんか。数字の意味がつかめると、まだ飲んだことのない一本で…
1本目に選ぶなら「純米」か「純米吟醸」
初めて大納川を買う方には、720mlで1,100円の「純米 大納川」か、2,200円の「純米吟醸 大納川」をおすすめします。
理由は、どちらも蔵の基本の味がわかる定番だからです。純米は精米歩合70%で、三温度帯で楽しめる設計。純米吟醸は秋田酒こまちを55%まで磨いたお酒で、オンラインストアでは「華やかな香りとすっきりとした味わいのバランスの良さ」が特徴と説明されています。
選び分けのコツは、飲み方で決めることです。燗酒にしたい、毎晩の晩酌に気兼ねなく飲みたいなら純米。冷やしてワイングラスで香りを楽しみたい、手土産にも使いたいなら純米吟醸です。純米吟醸は専用の化粧箱に入って届くので、贈り物にもそのまま使えます。
注意点として、オンラインストアの送料は地域によって変わり、11,000円以上の注文で送料無料になります。1本だけ注文すると送料の割合が大きくなるので、純米と純米吟醸を1本ずつ、あるいは一升瓶を組み合わせるなど、まとめて注文するほうが割安です。
| 酒蔵・産地 | 株式会社大納川(秋田県横手市大森町) |
| 特定名称 | 純米吟醸(純米吟醸 大納川) |
| 精米歩合 | 55%(秋田酒こまち) |
| アルコール度数 | 15度 |
| 内容量・価格 | 720ml/2,200円、1800ml/4,180円(公式オンラインストア) |
| おすすめの飲み方 | 10℃前後の冷酒でワイングラスに注ぎ、香りを楽しむ |
25%磨きの「極」と原酒の位置づけ
価格表のいちばん上にあるのが、720mlで27,500円の「純米大吟醸原酒 極(きわみ)」です。秋田酒こまちを精米歩合25%まで磨き、蔵付き酵母D-29で仕込んだ数量限定品で、アルコール度数は14度、日本酒度は-5です。
オンラインストアの説明によると、極は杜氏の佐藤好直さんが初めて挑んだ25%磨きの酒です。米の外側を75%削り落とすと、雑味のもとになるたんぱく質や脂質がほとんど残らず、澄んだ味わいになります。日本酒度-5という数字からは、甘みがしっかり感じられる設計だと読み取れます。
その一つ下にあるのが、6,600円の「純米大吟醸原酒 大納川」。秋田酒こまちの35%磨きで、きょうかい1801号酵母を使い、専用の化粧箱に入っています。鑑評会に出品するタイプの香り高い大吟醸を家で味わいたい方向けです。
注意点として、令和8年の山内杜氏組合自醸酒鑑評会で首席を受賞した純米大吟醸原酒は、2026年8月31日で販売期間が終わり、オンラインストアではSOLD OUTになっています。受賞酒を探している方は、取扱店の在庫を個別に確認する必要があります。
季節限定酒はいつ買える?ひやおろしとサイコロラベル
2026年のひやおろしは10月31日まで
いま買える季節限定酒の代表が「大納川 純米吟醸 生詰ひやおろし」です。オンラインストアでは720mlが1,980円、1800mlが3,960円で、販売期間は2026年10月31日までと表示されています。
中身は、五百万石を100%使い精米歩合55%まで磨いた純米吟醸で、蔵付き酵母で仕込んだ一回火入れの無濾過原酒です。アルコール度数は15度、日本酒度は+1。ひやおろしは、冬に仕込んだお酒をひと夏蔵で寝かせ、秋に出荷するお酒のことで、夏を越すあいだに角が取れてまろやかになります。
商品説明では、冷やはもちろん、常温やぬる燗でも楽しめると紹介されています。秋刀魚の塩焼きなら冷や、きのこの炊き込みご飯なら40℃前後のぬる燗、と料理に合わせて温度を変えてみてください。
注意点として、ひやおろしは期間と数量が限られた季節商品です。10月31日が近づくと在庫が減っていくので、秋の食卓で楽しみたいなら10月上旬までに注文しておくと安心です。
サイコロラベルは±0の無濾過原酒
もう一つの季節・数量限定酒が「大納川 純米吟醸 サイコロラベル」です。720mlで1,980円、販売期間はひやおろしと同じく2026年10月31日までです。
精米歩合55%、アルコール度数15度の純米吟醸原酒で、蔵付き酵母で仕込んだ無濾過原酒です。日本酒度は±0、酸度は1.8、アミノ酸度は0.8と、甘辛のちょうど真ん中に位置するスペックです。酸度1.8は、日本酒のなかではやや高めの数値で、飲み口に心地よい酸味が感じられることを示しています。
どんな方に向くかというと、ひやおろしより酸味の輪郭がはっきりしたお酒が好きな方や、脂ののった料理に合わせたい方です。豚の角煮やチーズなど、コクのある料理を酸がすっきり流してくれます。
豆知識として、大納川のお知らせ欄には「サイコロラベル2026発売」と告知されています。毎年デザインや年号入りで出る限定ラベルなので、年ごとに集める楽しみ方をしているファンもいます。
スパークリングと夏酒の出る時期
通年の定番とは別に、「大納川 純米吟醸 スパークリング」も数量限定で販売されています。720mlで2,090円、7BY(令和7酒造年度)の発売です。
公式サイトでは「純米吟醸 Sparkling(活性にごり酒)」と紹介されており、精米歩合55%、アルコール度数15度です。活性にごり酒は、瓶の中で酵母が生きていて、発酵で生まれた炭酸ガスが溶け込んだお酒です。オンラインストアでは毎年完売する人気商品と説明されています。
夏には「大納川 純米吟醸 夏酒」も登場します。2026年9月時点ではオンラインストアに720mlが1,980円で掲載されていますが、夏向けの季節商品なので、毎年の販売開始はお知らせ欄で確認するのが確実です。
注意点として、活性にごり酒は開栓時に中身が吹き出しやすいお酒です。冷蔵庫でよく冷やし、キャップを少しずつゆるめてガスを抜きながら開けてください。

酒屋の棚で「おりがらみ」と書かれた、うっすら白くかすんだ日本酒を見かけて、「これってにごり酒とどう違うの?」「開けたら吹きこぼれるって本当?」と手が止まった経験…
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ○ |
◎=夏酒・ひやおろし・サイコロラベルなど限定酒が並ぶ時期 ○=定番中心 △=限定酒の端境期。2026年のひやおろしとサイコロラベルは10月31日まで。年ごとの発売日は公式のお知らせで確認を。
どこで買える?蔵の直売・公式通販・取扱店の使い分け
蔵元直売所を訪ねる前に知っておきたいこと
秋田県酒造協同組合の蔵元紹介ページによると、大納川には蔵元直売所があり、一般見学も事前予約制で受け付けています。営業時間は8:00~17:00、土日祝は休業と掲載されています。
| 住所 | 〒013-0521 秋田県横手市大森町字大森169 |
| 電話番号 | 0182-26-2004 |
| 営業時間 | 8:00~17:00 |
| 定休日 | 土日祝 |
| 公式サイト | 公式サイト |
蔵で買うメリットは、造り手から直接話を聞きながら選べることです。どの酒が燗に向くか、いま飲み頃の限定酒はどれか、といった相談は、蔵ならではの楽しみです。
ここでよくある失敗が、週末の旅行ついでに予約なしで蔵へ向かい、休業日で直売所も見学も利用できなかったというパターンです。原因は、酒蔵の多くが平日中心の営業で、大納川も土日祝が休業日として案内されていることにあります。
対策は、訪ねる日が平日かどうかを先に確認し、見学を希望するなら事前に電話で予約を入れることです。週末しか動けない場合は、蔵を訪ねるのは外観の見学にとどめ、お酒は後述の道の駅や市内の取扱店、オンラインストアで買う、と割り切るのがおすすめです。
・見学は事前予約制で、土日祝は休業と案内されています。訪問前に必ず電話で確認しましょう。
・蔵を車で訪ねたあとの試飲は、運転する人は控えてください。飲酒運転は法律で禁止されています。
・20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。公式オンラインストアでも20歳以上であることの確認が求められます。
公式オンラインストアは送料無料ラインを意識する
遠方に住んでいる方にとって、いちばん確実なのは大納川の公式オンラインストアです。定番の純米から極まで、この記事の比較表に載せた商品はすべてここで扱っています。
配送はヤマト宅急便で、11,000円以上の注文で送料無料になります。支払い方法はクレジットカードのほか、PayPay、Amazon Pay、銀行振込、コンビニ決済などに対応しています。
上手な使い方は、一升瓶と720mlを組み合わせて送料無料ラインに近づけることです。たとえば純米吟醸の1800ml(4,180円)と純米大吟醸原酒の720ml(6,600円)を組み合わせると、ラインのすぐ手前まで届きます。家族や友人と共同で注文するのも一つの方法です。
注意点として、季節限定酒や受賞酒は売り切れると「売切れ」表示に変わります。欲しい限定酒がある場合は、お知らせ欄やSNSで発売日を確認し、発売直後に注文するのが確実です。
横手市内の取扱店と全国の特約店
公式サイトの買えるお店ページには、取扱店が地域別に一覧で掲載されています。横手市内では、かまくら館、秋田ふるさと村、道の駅さんないのほか、地元の酒販店やスーパーなど10軒以上が並んでいます。
秋田県内では秋田市・大館市・湯沢市・仙北市などにも取扱店があり、県外では北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、九州と全国に販売網が広がっています。関東地区は50店以上が掲載されています。
使い分けとしては、横手観光の途中なら秋田ふるさと村や道の駅さんないが立ち寄りやすく、特約店限定の天花を探すなら一覧の中から近くの酒販店を選んで在庫を問い合わせる、という流れがおすすめです。
注意点として、取扱店一覧に載っていても、すべての銘柄が常に並んでいるわけではありません。特に天花や限定酒は入荷数が少ないので、足を運ぶ前に電話で在庫を確認すると空振りを防げます。
横手市大森町の酒造会社を訪ねるなら、町の何を見る?
1200年以上の歴史をもつ保呂羽山の霜月神楽
大森町を訪ねるなら、蔵の背景にある保呂羽山の文化にも触れておきたいところです。大納川の公式サイトでは、蔵の所在地を国の重要無形民俗文化財「霜月神楽」の里と紹介しています。
横手市公式サイトの霜月神楽のページによると、霜月神楽は大森町八沢木の保呂羽山波宇志別神社里宮神殿で、毎年11月7日の夜から翌8日の朝にかけて行われます。1200年以上の歴史をもつといわれ、33番の神事で構成されています。その年の収穫を神に感謝し、来年の豊作を祈る行事です。
酒と神事の結びつきを感じたい方には、この時期の大森町はおすすめです。米の収穫に感謝する祭りが続いてきた土地で、その米から酒が醸されているという流れが、目に見える形で伝わってきます。
注意点として、霜月神楽は夜を徹して行われる神事で、観光イベントとは性格が異なります。見学する場合は、地域の方の案内に従い、神事の妨げにならないよう静かに見守りましょう。蔵もあわせて訪ねる場合は、営業日と予約の要否を事前に確認してください。
「テロワール化」と地元の米
秋田県酒造協同組合の蔵元紹介では、大納川が地元・横手市大森町の「テロワール化」を進めていると紹介されています。地元の農家と協力し、地元産の米と伏流水を使う取り組みです。
テロワールはワインの世界でよく使われる言葉で、土地の気候や土壌、水がその土地ならではの味をつくる、という考え方です。日本酒でも、酒米と仕込み水を同じ地域でそろえることで、土地の個性を表現しようとする蔵が増えています。
ラベルで見分けるなら、原料米の欄に注目してください。秋田県の酒造好適米「秋田酒こまち」、食用米の「あきたこまち」のほか、地元産米「めんこいな」を使った銘柄もあります。山内杜氏ブランドは、山内の米と水を使うことが条件です。
実は、意外と知られていないけれど、食用米で醸した日本酒は「酒米で造った酒より格下」というわけではありません。天花の俵ラベルやエンジェルラベルのように、あきたこまちで醸すことで、酒米とは違うふくよかな旨みが出ることがあります。高い酒米ばかりに目を向けず、食用米の酒も試してみると、選択肢が一気に広がります。
横手市内のほかの酒蔵もあわせて巡るなら
大森町は、2005年10月1日に横手市・増田町・平鹿町・雄物川町・十文字町・山内村・大雄村とともに合併し、新しい横手市になりました。いまの横手市内には、大納川以外にも個性的な蔵がいくつもあります。
増田町の日の丸醸造は、1689年(元禄2年)創業の「まんさくの花」の蔵です。直売所があり、内蔵見学は200円、試飲コイン3枚は300円で案内されています。
平鹿町浅舞の浅舞酒造は、1917年(大正6年)創業で「天の戸」を醸す蔵です。2011年から全量純米酒の蔵になっています。
横手市大沢の阿櫻酒造は、明治19年創業の「阿櫻」の蔵です。
注意点として、浅舞酒造と阿櫻酒造は、公式サイトの会社概要に営業時間や見学の案内が載っていません。立ち寄りたい場合は、事前に各蔵へ問い合わせてください。秋田県全体の酒蔵については、別の記事で詳しくまとめています。

「秋田のお酒はおいしいと聞くけれど、蔵がいくつあって、どこから手をつければいいのかわからない」——日本酒売り場で秋田の棚を前に、そう立ち止まった経験はありません…
読者タイプ別・大納川の選び方
最後に、どんな方にどの1本が合うかを整理しておきます。
日本酒を飲み始めたばかりの方には、720mlで1,100円の「純米 大納川」がおすすめです。冷やから熱燗まで試せるので、自分の好きな温度帯を探す練習台になります。香りの華やかなお酒が好きなら、2,200円の「純米吟醸 大納川」から入ってもいいでしょう。
辛口派で食事と一緒に楽しみたい方には、日本酒度+11の「特別純米 超辛口」。秋の味覚と合わせたいなら、2026年10月31日まで販売の「純米吟醸 生詰ひやおろし」が季節感を味わえる1本です。
記念日や特別な贈り物には、6,600円の「純米大吟醸原酒 大納川」。日本酒好きの方へのとっておきなら、27,500円の「純米大吟醸原酒 極」という選択肢もあります。ウイスキー好きの方には、樽熟成の「Omori」を選ぶと会話が弾みます。
注意点として、限定酒は時期によって在庫が変わります。この記事の価格と販売期間は2026年9月時点のオンラインストア表示です。秋田の他の蔵の銘柄と比べたい方は、県内の人気銘柄をまとめた記事も参考にしてください。

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まとめ
横手市大森町の酒造会社・大納川は、110年を超える歴史をもちながら、2019年の再出発で全量純米・蔵付き酵母という新しい顔を手に入れた蔵です。保呂羽山のふもとで山内杜氏が醸すお酒には、この土地の米と水、そして人の手仕事がそのまま映し出されています。
最初の一歩としては、公式オンラインストアで「純米 大納川」の720mlを1本取り寄せ、冷や・ぬる燗・熱燗の3つの温度で飲み比べてみてください。気に入ったら、次は特約店で天花を探す、秋に大森町を訪ねて蔵をのぞく、と少しずつ世界を広げていくのがおすすめです。
※価格・販売期間・営業時間は2026年9月時点の公式情報をもとにしています。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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